慰謝料

むちうちで受け取れる慰謝料の種類と相場

交通事故でむちうちに!?症状と必ず取るべき6つの行動

交通事故の被害に遭った結果むちうちになってしまい、治療のために病院や整骨院に通っている場合は「入通院慰謝料」を、むちうちが後遺障害として認められると「後遺障害慰謝料」を受け取ることが出来ます。

この記事では、むちうちが生じた場合に受け取ることが出来る慰謝料の種類や金額の相場、慰謝料を受け取れるようになるまでの流れなどについて、大阪の弁護士法人いろはの弁護士が、専門家の視点から詳しく解説します。

交通事故でお困りの方への『おすすめページ』

交通事故を「0円」で弁護士に相談出来る!?弁護士費用特約とは

交通事故を弁護士に相談する「3つのメリット」とは

むちうちで受け取れる慰謝料の種類

慰謝料とは、交通事故によって被害者が被った精神的損害に対する賠償金のことです。むちうちで受け取れる慰謝料には、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の2種類があります。

入通院慰謝料とは、交通事故によって入通院が必要になったことに対する慰謝料です。入通院の期間に応じて金額が決まっており、治療期間が長くなればなるほど入通院慰謝料は高額になります。

また交通事故の慰謝料の計算基準には、自賠責保険が使用する「自賠責基準」、任意保険が被害者と示談する際に使用する「任意保険基準」、弁護士が示談交渉する場合や、裁判所が使用する「弁護士・裁判基準」の3種類があり、どの計算基準が用いられるかによって慰謝料の金額が大きく異なります。

※3つの慰謝料計算基準については、『交通事故の3つの賠償基準』をご参照ください。

自賠責基準による入通院慰謝料

自賠責基準では、入通院慰謝料は「入通院日数×4,200円」となります。入通院日数は「入通院の期間」と「実入通院日数の2倍」を比較して、小さな方の数字が採用されます。

例えば入通院の期間が「60日」でも、通院日数が20日なら、「20×2=40日」となり、こちらの方が小さな数字となるので、入通院日数は40日とされます。この場合、入通院慰謝料の金額は、「4,200円×40日=168,000円」となります。

また、通院期間が「60日」で実通院日数が40日なら、「40×2=80日」となって、60日の方が小さな数字となるので、入通院日数は40日とされます。この場合の入通院慰謝料の金額は「4,200円×60日=252,000円」です。

任意保険基準による入通院慰謝料

任意保険基準では、入通院の期間に応じて慰謝料の相場が決まります。

任意保険基準による慰謝料相場の例

  • 通院2ヶ月:252,000
  • 入院1ヶ月・通院1ヶ月:378,000
  • 通院3ヶ月:378,000
  • 通院6ヶ月:642,000

以上のように、任意保険基準で慰謝料が計算された場合、自賠責基準より多少高額になることが多いです。

裁判・弁護士基準による入通院慰謝料

裁判・弁護士基準で計算される場合は、入通院の期間だけでなく、けがの程度によっても慰謝料が変わります。むちうちでも、「軽傷」ではなく「通常のけが」に分類されれば慰謝料の金額が上がります。ちなみに、軽傷に分類された場合でも、任意保険基準よりは高い金額となります。

裁判・弁護士基準による慰謝料相場の例

  • 通院2ヶ月:軽傷 36万円、通常のけが 52万円
  • 入院1ヶ月、通院1ヶ月なら:軽傷 52万円、通常のけが 77万円
  • 通院3ヶ月:軽傷 53万円、通常のけが 73万円
  • 通院6ヶ月:軽傷 89万円、通常のけが 116万円 

以上のように、同じようにむちうちになって入通院治療をしても、裁判・弁護士基準で計算すると大きく入通院慰謝料の金額が上がることが分かります

【注意】病院ではなく整骨院に通院するケース

病院ではなく整骨院へ通院した場合であっても、入通院慰謝料の支払いを受けることはできますが、ケースによっては認められないこともあるので注意が必要です。

整骨院の先生は、医師ではなく柔道整復師であり、そこでの施術は医師による治療よりも必要性が認められにくくなります。整骨院への通院が治療に必要かどうかについては病院の医師が判断しますので、事前に医師に相談をして、整骨院への通院が必要であることについて同意してもらっておくことが必要です。

医師に相談することなく整骨院に通い、後に医師が「治療に必要とは言えない」と判断した場合、慰謝料を請求できなくなることもあるので注意が必要です。

むちうちの後遺障害慰謝料

交通事故によるむちうちが後遺障害として認められると、後遺障害慰謝料という慰謝料を受け取ることができます。次に、むちうちを後遺障害としての認定を受け、慰謝料を受け取るまでの流れについて解説します。

むちうち後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れ


むちうちを後遺障害として申請する

後遺障害慰謝料の支払いを受けるためには、「後遺障害の認定」を受ける必要があります。同じ症状が残っていても、認定を受けていなければ後遺障害慰謝料を受け取ることはできません。

さらに、後遺障害認定を受けるためには自分から積極的に申請手続きをしなければなりません。「後遺障害の認定なんて、やったことない!」「きちんと認定を受けられるの?」と不安になる方も多いですが、手順通りに進めれば認定申請を行うことができますのでご安心ください。以下で後遺障害の申請方法を、ステップごとにご説明します。

後遺障害診断書を取得する

まずは「後遺障害診断書」という書類を取得する必要があります。「後遺障害診断書」とは、後遺障害の内容について詳しく記載された診断書のことです。後遺障害認定の際には、この後遺障害診断書の内容が重視されるので、適切な内容の後遺障害診断書を手に入れることが重要です。

後遺障害診断書は、主治医に依頼すれば作成してもらいます。診断書のフォーマットはインターネット上でもダウンロードできますし、相手方の任意保険会社から受け取ることも可能です。

※後遺障害診断書についての詳細は、『交通事故の3つの賠償基準』をご参照ください。 

「事前認定」か「被害者請求」かを選択する

後遺障害診断書を手に入れたら、具体的に申請手続きを開始しなければなりません。このとき、「事前認定」と「被害者請求」という2種類の申請方法から選択します。

事前認定の場合の申請方法

事前認定とは、相手の任意保険会社に後遺障害認定の手続きを代行してもらう方法です。この場合、相手の保険会社が後遺障害の申請手続きを行い、その後、任意保険会社から決定内容を告げられることになります。

事前認定の方法で後遺障害の申請をするときには、入手した「後遺障害診断書」を相手方の任意保険会社宛てに送るだけで済みます。症状固定が近づいたら速やかに後遺障害診断書を取り寄せて相手方の任意保険会社に連絡を入れ、「後遺障害の等級認定を受けたい」と伝えて後遺障害診断書を送りましょう。それ以外には特に書類も要りません。 

被害者請求の場合の申請方法

被害者請求とは、被害者が自分で相手方の自賠責保険会社に対し、後遺障害の認定を申請する方法です。この場合、被害者が自分で相手方の自賠責保険会社とやり取りをして、結果は相手方の自賠責保険会社から直接被害者宛に通知されます。

被害者請求は、事前認定と比べると手続きが少し複雑です。後遺障害診断書を取り寄せたら、相手方の「自賠責保険会社」に連絡を入れて、保険金請求用の書類一式を送ってもらいましょう。申請の際には、以下のような書類を集める必要があります。 

1.保険金請求書
相手方の自賠責保険会社から送られてきた書類に書式が入っているので、必要事項を埋めて作成しましょう。 

2.後遺障害診断書
医師に依頼して書いてもらったものです。

3.交通事故証明書
自動車安全運転センターから取り寄せます。

4.事故発生状況報告書
相手方の自賠責保険会社から送られてきた書類に書式が入っているので、自分で図面などを書いて作成しましょう。

5.診断書
後遺障害診断書以外の診断書も提出しなければなりません。病院から取り寄せましょう。 

6.診療報酬明細書
病院でかかった治療費の明細書です。病院から取り寄せましょう。

7.検査結果
レントゲン検査やMRICTなどの画像検査などの資料です。病院から取り寄せましょう。

8.交通費明細書
相手の自賠責保険会社から送られてきた書類に書式が入っています。通院などに交通費がかかっていたら、書き入れましょう。

9.印鑑登録証明書
市町村役場で申請して取得しましょう。印鑑登録をしていなければ、まずは実印の登録をする必要があります。 以上の書類のうち,交通事故証明書や診断書・診療報酬明細書は,相手方保険会社が既に所持している可能性が高いため,後遺障害の申請に必要である旨を伝えて,郵送してもらいましょう。

全ての書類をまとめて相手の自賠責保険宛てに送付すれば、後遺障害認定の被害者請求は完了です。また被害者請求の場合には、上記の最低限必要な書類以外にも、医師に意見書を書いてもらうなどして積極的に被害者に有利になる資料を提出することも可能です。

むちうちの後遺障害認定手続きの流れ

むちうちで後遺障害認定の申請を出したら、その後はどのような手続きをたどって認定を受けられるのか、確認しておきましょう。ここでも事前認定か被害者請求かによって手続きが異なるので、それぞれについてご説明します。

事前認定の後遺障害認定手続きの流れ

事前認定の場合、被害者が特に何もしなくても勝手に手続きが進みます。相手方の任意保険会社が後遺障害診断書以外の必要書類を揃え、請求手続きをします。請求手続きが行われると、損害保険料率算定機構で後遺障害についての調査が行われ、後遺障害に該当するかどうかを判断されます。

認定結果はまず相手方の任意保険会社に通知され、その後相手方の任意保険会社から被害者宛に通知されるという流れになります。結果の内容は相手方の任意保険会社から簡単に口頭で聞かされるだけということも多く、詳しい理由を説明してもらえることはあまりありません。申請してから認定結果が出るまでの期間は、おおよそ1~3ヶ月程度です。

被害者請求の後遺障害認定手続きの流れ

被害者請求の場合は、自賠責保険会社から損害保険料率算定機構に書類一式を送付されます。その後、損害保険料率算定機構にて後遺障害についての調査が行われ、後遺障害を認定するかどうかや、認定する場合の等級(後遺障害のレベル)が決定されます。

調査中に不足している資料や疑問点などがあると、調査事務所から被害者宛に連絡が来ることがあります。被害者は問い合わせ内容に応じて追加で資料を取り寄せて提出するなどの対応をしなければなりません。また、調査中に被害者が追加で検査資料や医師の意見書などを提出して、判断材料にしてもらうことも可能です。

調査結果は、まず自賠責保険会社に通知され、自賠責保険会社から被害者宛に結果が送られます。後遺障害が認定されていた場合は、その等級と認定理由が書かれおり、認定されなかった場合は「非該当」と書かれていて、その理由が記載されています。審査にかかる期間は、やはり1~3ヶ月程度であることが多いです。

むちうちの後遺障害慰謝料を受け取る流れ

むちうちで後遺障害の認定を受けた後、どのような流れで後遺障害慰謝料を受けとることになるのかも確認しておきましょう。支払いを受ける方法とタイミングも、事前認定と被害者請求で異なります。 

事前認定で後遺障害慰謝料を受け取る流れ

事前認定の場合、相手方の任意保険会社から後遺障害の認定結果の通知を受けても、すぐに後遺障害慰謝料の支払いを受けることはできません。この場合、他の損害賠償金と合わせて、示談成立後に支払われることとなります。交通事故の示談交渉には非常に時間がかかることがあり、場合によっては認定を受けてから1年以上を要することもあります。

慰謝料を受け取るためには、まずは示談を成立させる必要があります。示談が成立すると、相手方の任意保険会社から「示談書」が送られてきます。示談書に記載されている費目の中に、「後遺障害慰謝料」があるかきちんと確認し、漏れがなければ示談書に署名、押印して、振込先の口座を記入して返送します。すると、相手方の任意保険会社から速やかに示談金が振り込まれる流れとなります。

被害者請求で後遺障害慰謝料を受け取る流れ

被害者請求の場合、自賠責保険会社から認定結果の連絡が来ると、速やかに「自賠責保険の限度額」までの後遺障害慰謝料が振り込まれます。被害者請求によって後遺障害の申請をするときには、申請時に希望する振込先を記入して保険金請求書を提出しているので、認定後に別途振込先を指定する必要はありません。

被害者請求を利用するときには、後遺障害の認定時に後遺障害慰謝料の一部を先に自賠責保険会社から受けとり、残りは示談が成立したときに相手の任意保険会社から受けとることになるので、2度にわたって支払が行われることになります。 

最後に

以上のように、交通事故の被害に遭ってむちうちになった場合に受け取ることが出来る「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」は、慰謝料の計算基準や請求方法などによって大きく異なります。

特に、出来る限り高額な慰謝料を受け取るためには、「裁判・弁護士基準」の慰謝料計算基準で計算されることが必須です。裁判・弁護士基準は、弁護士に示談交渉を依頼することで適用されます。

裁判・弁護士基準の場合には、任意保険基準と比べて慰謝料の金額が2倍~3倍程度になる可能性があります。 むちうちで認定を受けられる後遺障害の等級は12級か14級ですが、例えば12級の場合、裁判所基準なら後遺障害慰謝料は280290万円ですが、任意保険基準なら100万円程度にしかならないこともあります。

交通事故でむちうちになり、事故の相手方と示談交渉を行っている方や、これから予定されている方は、まずは一度、弁護士にご相談いただければと思います。