慰謝料

むちうちで受け取れる慰謝料の種類

交通事故でむちうちに!?症状と必ず取るべき6つの行動

交通事故に遭ってしまい、むちうちの治療のために病院や整骨院に通っている場合には、治療費や休業損害の他に、慰謝料をもらうことができます。ここでは、治療費・休業損害・慰謝料の違いをわかりやすく説明した上で、むちうちに限ることなく、交通事故でお怪我を負ってしまった場合、どうすれば慰謝料をしっかりと受け取れるのかについてお話しします。

治療費・休業損害・慰謝料は人的損害

交通事故で被害者になったら相手に対して慰謝料を請求できるイメージがありますが、交通事故が起こったからと言って、必ずしも慰謝料が発生するとは限りません。交通事故の解決においては、物的損害と人的損害の2種類があり、通常はこの2種類を区別して精算します。

物的損害とは、自動車や携行品の破損など、人間以外に生じた損害のことです。これに対し、人的損害とは人が傷害を負ったり死亡したりしたために発生した損害のことをいいます。

慰謝料は人的損害のなかで請求していくものになります。これに対し、物的損害のなかでは慰謝料という請求項目は通常ありません。事故に遭ったときにどれだけ思い入れのある車が壊れても慰謝料を請求することはできませんし、大切なペットが死亡しても、慰謝料は原則として発生しません。慰謝料を請求できるのは、あくまで「人が死傷したとき」であるということを、まずは押さえておきましょう。

物損事故を人身事故に変更できるの

一般的には人的損害が発生した事故を人身事故とすることが多いのですが、何らかの理由により物損事故扱いとなっている場合があります。

事故当初は痛みやしびれなどの症状が出ないので物損事故として届け出てしまっても、数日経ってから痛みやしびれが生じたり、相手を思いやって人身事故の届け出をしなかったりといったケースも見受けられます。

物損事故のままにしておくと、人的損害である治療費や慰謝料を支払ってもらうことができないのではないか、そこで物損事故を人身事故に切り替えることができないのかというご相談をお受けすることがあります。 この点、いったん物損事故として届出をしても、後に人身事故に変更することは可能ですし、そもそも、実は物損事故のままでも人的損害を請求することは可能です。

人身事故に切り替えたいときには、病院で診察を受けて医師に診断書を作成してもらい、それを持って警察に行って届出を出すことで対応してもらえます。

もっとも、交通事故から相当な日数が経過していたら、警察が切り替えの申請を受け付けてくれなくなることもあります。その場合には、保険会社に対し、「人身事故証明入手不能理由書」という書類を提出して、切り替えをする必要があります。これによって人身事故への切り替えが認められたら、人身事故扱いしてもらえるので、相手に慰謝料や治療費などを請求できるようになります。

いずれにしても、事故日から診察を受けるまで時間が経過していたら、その怪我が本当に交通事故によるものかどうかが分からなくなってしまいます。そのため、人身事故へ切り替えるのであれば、遅くとも10日以内には手続をすべきですし、物損事故のまま治療費や慰謝料を請求するのであれば、事故の加害者や保険会社に対して、できる限り早くお怪我を負ったことを伝えるようにしましょう。

治療費・休業損害と慰謝料は別のもの

ところで、一般的に、交通事故の慰謝料というと、相手から支払いを受けられる示談金や賠償金の全てだと思われていることがあります。つまり、「示談金」=「慰謝料」だと思われているのです。しかし、この理解は間違っています。交通事故で相手に請求できる賠償金には、治療費や休業損害、文書料や付添看護費用、通院交通費や逸失利益などさまざまなものがありますが、これらはすべて、慰謝料とは別のものです。

慰謝料とは、交通事故によって被害者が被った精神的損害に対する賠償金のことです。賠償金は、交通事故によって発生した損害を弁償するためのお金のことで、これを示談で支払う場合を「示談金」と言います。話合いで損害賠償をしてもらう場合、賠償金=示談金です。

そして、慰謝料はこの示談金=賠償金の一部です。示談金には病院に支払う治療費や、仕事を休んだことで発生する休業損害、診断書費用や通院の交通費などもありますが、これらは慰謝料とは明らかに違います。 慰謝料や治療費、休業損害、通院交通費などはすべて賠償金を構成する損害の項目です。

その意味で、示談金≓賠償金慰謝料であり、示談金は慰謝料の金額よりも大きな概念です。治療費や休業損害、慰謝料や逸失利益などの損害賠償の項目をすべて含んだものが、示談金であり賠償金となります。

お怪我による通院・入院でもらえるお金

それでは、交通事故によって入通院すると、どのようなお金を支払ってもらうことができるのでしょうか。

治療費

治療費は、病院に入通院したときに病院に支払う費用です。診察代や投薬料、検査費用などすべてが含まれます。

通院交通費

通院するときにかかった交通費です。電車やバスなどの公共交通機関の費用、自家用車で通った場合のガソリン代などが対象になります。

入院雑費

入院するときにかかるいろいろな雑費です。たとえば寝具や衛生用品などを想定しています。保険会社さんは1日1000~1100円程度を提示されることが多いですが、裁判所は1日1500円として計算する傾向にあります。

付添看護費

入院や通院したときには看護を受けますが、その看護費用も支払われます。職業の看護師だけではなく、近親者に付添看護してもらった場合にも支払いを受けることができます。

休業損害

交通事故で仕事ができなくなったら、本来仕事をしていたら得られるはずだった収入を得られなくなります。そこで、仕事ができなくなった日数に応じて休業損害を請求することができます。

慰謝料

交通事故によって被った精神的損害に対する賠償金です。この場合に認められるのは、入通院慰謝料です。これは、交通事故によって入通院が必要になったことに対する慰謝料であり、入通院の期間に応じて金額が決まっています。治療期間が長くなればなるほど入通院慰謝料の金額が上がります。

後遺障害認定された場合にもらえるお金

また、懸命な治療にもかかわらず後遺障害が残ることがあります(むちうちであっても12級や14級が認定されることがあります)。

そして、後遺障害が認定された場合には、相手に対し、後遺障害慰謝料と逸失利益の支払いを請求することができます。後遺障害慰謝料とは、交通事故で怪我をして後遺障害が残ったことに対する慰謝料のことです。逸失利益とは、後遺障害が残ったことにより、それまでのようには働けなくなったために、将来得られなくなってしまった収入のことです。

たとえば、12級の場合には労働能力喪失率が14%、14級の場合には労働能力喪失率が5%となっています。逸失利益を請求できるのは、基本的に事故前に仕事をして収入を得ていた人ですが、子どもや主婦などの場合でも、逸失利益の請求が可能です。

慰謝料の大きさを決める3つの基準

お怪我を負った場合には、相手に入通院慰謝料や後遺障害慰謝料を請求することができますが、交通事故の慰謝料の計算基準には3種類があります。1つ目は自賠責基準、2つ目は任意保険基準、3つ目が弁護士・裁判基準です。

自賠責基準とは、自賠責保険が保険金を計算するときに使用する基準であり、自賠責保険が定めています。任意保険基準とは、任意保険基準が被害者と示談交渉をするときに使う基準であり、各任意保険会社がそれぞれ独自に定めています。ただ、会社間で同じような相場となっていますし、基本的には自賠責基準を参考にしています。

弁護士・裁判基準とは、弁護士が相手と示談交渉をするときや、裁判所が認定をするときに利用する基準です。弁護士・裁判基準は、判例の積み重ねなどによって法曹関係者が作成しているものです。

これらの中で、最も低額な基準が自賠責基準であり、次に任意保険基準、最も高額な基準が弁護士・裁判基準となります。そこで、交通事故でむちうちになったとき、なるべく高額な慰謝料の支払いを受けたいなら、弁護士・裁判基準を適用して計算してもらう必要があります。

むちうちによる入通院慰謝料

3つの基準で入通院慰謝料を計算するとどのくらい金額が変わってくるのか、以下でだいたいの相場を確認しましょう。

自賠責基準

自賠責基準では、入通院慰謝料は、入通院日数×4200円となります。入通院日数については、入通院の期間と実入通院日数の2倍を比較して、小さな方の数字を採用します。

たとえば、入通院の期間が2ヶ月60日でも、通院日数が20日なら、20日×2=40日となり、こちらの方が小さな数字となるので、入通院日数は40日です。この場合、入通院慰謝料の金額は、4200円×40日=168000円となります。

通院期間が2ヶ月でも、実通院日数が40日なら、40日×2=80日となって、60日の方が小さくなります。そこでこの場合の入通院慰謝料の金額は、4200円×60日=252000円となります。

任意保険基準

次に、任意保険基準による入通院慰謝料を見てみましょう。

任意保険基準では、入通院の期間に応じて、慰謝料の相場が決まります。通院が2ヶ月であれば、252000円、入院1ヶ月、通院1ヶ月であれば378000円となります。通院3ヶ月なら378000円、通院6ヶ月なら642000円となります。

このように、任意保険基準の場合、多少自賠責基準より高額になることが多いです。

裁判基準弁護士基準

次に、裁判基準による入通院慰謝料を見てみましょう。

裁判基準の場合には、けがの程度によって入通院慰謝料が変わります。むちうちでも、軽傷の場合には安い方の基準が適用されますし、通常のけがに分類されたら慰謝料の金額が上がります。ただ、軽傷の場合でも、任意保険基準よりは高い金額となります。

たとえば、通院2ヶ月の場合、軽傷なら36万円、通常のけがなら52万円です。入院1ヶ月、通院1ヶ月なら、軽傷の場合で52万円、通常の傷害の場合に77万円です。通院3ヶ月なら軽傷の場合に53万円、通常程度のけがの場合には73万円です。通院6ヶ月なら、軽傷の場合に89万円、通常のけがの場合には116万円となります。

以上のように、同じようにむちうちになって入通院治療をしても、弁護士・裁判基準で計算すると大きく入通院慰謝料の金額が上がることがわかります。

※大阪地方裁判所はここで紹介した基準とは別の基準を用いていますので、大阪、場合によってはその隣接県での交渉の際には、大阪基準が用いられることがあります。それほど大きな差は生じません。

むちうちによる後遺障害慰謝料

次に、むちうちで後遺障害が残った場合の後遺障害慰謝料について、それぞれの基準で計算するとどうなるのかを見てみましょう。

まずは自賠責基準の場合です。むちうちで14級の後遺障害が残った場合には32万円、12級の後遺障害が残った場合には93万円となります。

次に、任意保険基準の場合を見てみましょう。この場合、14級の後遺障害が残ったケースではだいたい40万円、12級の後遺障害が残った場合にはだいたい100万円となります。

それでは、裁判基準で計算すると後遺障害慰謝料の金額はどうなるのでしょうか。この場合、後遺障害14級の場合には110万円程度、後遺障害12級になった場合には290万円程度の後遺障害慰謝料が認められます。

このように、むちうちになった場合、弁護士・裁判基準で計算すると、後遺障害慰謝料も大きく上がることがわかります。他の基準で計算する場合と比較すると、3倍近い金額になります。

整骨院に通っている場合でも、治療費・休業損害・慰謝料はもらえるの同じなの

お怪我を負った場合には、病院ではなく整骨院に通院するケースがありますが、こうした場合にも治療費や休業損害、慰謝料がもらえるのかどうかという質問を受けることが多いです。

整骨院や接骨院へ通院した場合であっても、これらの賠償金の支払いを受けることはできますが、ケースによっては認められないこともあります。それは、整骨院や接骨院の先生は、医師ではなく柔道整復師であり、そこでの施術は、医師による治療よりも、必要性が認められにくいためです。

整骨院や接骨院への通院でも、治療に必要な限度では治療費や慰謝料等の支払いが認められますが、治療に必要でないとみなされたら、支払いを受けることができなくなります。整骨院や接骨院への通院が治療に必要かどうかについては、医師が判断します。そこで、これらの院に通院するときには、事前に病院の医師に相談をして、整骨院への通院が必要であることについて同意してもらっておくことが必要です。

医師に言わずに勝手に整骨院に行き、後に医師が「治療に必要とは言えない」と判断したら、治療費や慰謝料を請求できなくなることもあるので、注意が必要です。整骨院に通院したい場合、まずは整形外科病院に通院し、折を見て医師と相談をして、医師の同意や了承を得た上で整骨院に通院するようにしましょう。

まとめ

以上のように、交通事故でお怪我を負った際は、たとえそれがむちうちのようなものであったとしても、通院の実績に応じて慰謝料請求ができます。

この場合に請求できる慰謝料には、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料があります。そして、これらの慰謝料を計算する基準には、自賠責基準と任意保険基準、弁護士・裁判基準の3種類があり、中でも弁護士・裁判基準で慰謝料を計算すると、他の基準で計算する場合よりも大きく賠償金の金額が上がります。

そこで、なるべく高額な慰謝料を請求するには、弁護士・裁判基準で計算してもらうことが必須です。そのためには、示談交渉を弁護士に依頼する方法がベストです。弁護士に示談交渉を依頼したら、当然に高額な弁護士・裁判基準を適用して賠償金を計算してもらえるからです。

今、交通事故でお怪我を負ったり、むちうちになって相手と示談交渉をしている人やこれからしようとしている人は、まずは一度、交通事故に力を入れている弁護士に相談をして、示談交渉を任せた方がよいのかどうか、検討しましょう。