慰謝料

死亡事故の場合の慰謝料の相場

死亡事故の場合の慰謝料の相場とは?

近年、死亡事故は1億円を超える高額の賠償額が裁判所に認められるなど高額化の傾向にあります。また、弁護士が被害者からご依頼を受け、相手方保険会社や相手方弁護士と交渉することにより、死亡慰謝料が大幅に増額された事件も多く存在します。

死亡慰謝料は、弁護士に依頼することで一定額の増額が見込める損害項目でもあります。 今回は、「慰謝料」の中でも、交通事故により被害者が残念なことにお亡くなりになってしまった場合、その死亡による精神的苦痛に対する賠償(死亡慰謝料といいます。)を取り上げてご説明をしていきたいと思います。

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死亡事故の発生状況

下記の表は、公益財団法人・交通事故総合分析センターが作成した、平成29年中の国内における事故発生状況を示したものです。

★平成29年中の交通事故発生状況

発生件数

47万2,165件

  うち 死亡事故件数

3,630件

     重傷事故件数

3万4,940件

     軽傷事故件数

43万3,595件

死者数

3,694人

負傷者数

58万0,850人

    重傷者数

3万6,895人

    軽傷者数

54万3,955人

(引用先:公益財団法人 交通事故総合分析センター)

平成29年の1年間で約47万件の交通事故が発生しており、そのうち約3,600件が死亡事故です。死亡事故事故は、全国各地で、皆さんの身近なところで多数発生しています。

死亡慰謝料は誰が請求できるのか

死亡事故の場合、被害者のみならず、その近親者が被る精神的苦痛も計り知れないほど大きなものです。そこで、民法711条は、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」と規定し、被害者遺族である両親、配偶者、子どもに対しても近親者固有の慰謝料請求権を認めています。

では、「父母、配偶者、子」以外の人は、慰謝料を請求することができないのでしょうか。民法711条は「父母、配偶者、子」としか規定していませんが、これまでの裁判例では、被害者との関係性や生活における密接性などを考慮して、「父母、配偶者、子」に匹敵するほどに近しい関係にある者については、民法711条で挙げられた父母、配偶者、子に類似する者として、内縁の妻、祖父母、兄弟姉妹などについても、近親者固有の慰謝料請求権が認められたケースがあります。

誰が死亡慰謝料額を決めるのか

慰謝料は「損害賠償請求権」という法律上の権利に基づく請求項目です。この法律上の権利が認められるか否かを最終的に判断する機関は、当然、裁判所となります。そのため、適正な慰謝料額を定めるのも裁判所ということになります。

たくさん発生するすべての交通事故被害者に対し、慰謝料等の各損害項目について、基準を設けることなく、個別的に判断してしまうと結論にばらつきが出てしまいます。また、先ほどご説明したとおり、毎日多くの交通事故が発生している我が国では、裁判所が、すべてについて個別的に判断することになってしまうと、大変な負担で時間が足りず、審理に多大な時間を要してしまいます。

そのため裁判所は、交通事故の損害額を決めて事件を解決するため、それぞれの交通事故の事故状況や、被害者がどれだけ精神的に傷つけられたかについて、「一定の目安」としての基準を設け、その類型化された基準に基づいて、ある程度画一的に処理できるようにすることで、交通事故事件の迅速な解決を図るようにしました。

具体的な死亡慰謝料の相場

前述の通り、損害額の基準に関して「一応の目安」として類型化されることで、全国で画一的な処理が可能になり、公平性、平等性を図ることができるようになりました。また、裁判所は、個々の事案ごとで特に酌むべき事情があれば、その事情を考慮して、一応の目安の損害額を柔軟に増減することで、賠償額の結果の妥当性を一定程度図っています。

一般に、加害者側の保険会社との交渉場面においては、慰謝料の算定に関する3つの基準があります。自賠責基準、任意保険会社基準、そして裁判所基準です。このうち、裁判所基準が、最も適正な基準となります。自賠責基準と任意保険会社基準は、大きな差がありませんので、今回は、以下のとおり、自賠責基準と裁判所基準について、具体的に説明します。

自賠責基準の場合

自賠責基準とは、自賠責保険が定める慰謝料基準です。自賠責保険とは、私たち日本国民が、自動車で公道を走行する場合に、加入を義務付けられている保険です。自動車検査登録制度(車検の正式名称です。)をクリアする条件として、自賠責保険の加入が求められています。

自賠責基準の死亡慰謝料は、裁判所基準の死亡慰謝料に比べて低額になっています。その理由としては、自動車に乗る国民に対する強制加入保険であることから、保険料が任意保険に比べ、安く抑えられており、自賠責保険が慰謝料を支払う場合の原資が任意保険会社に比べて少ないこと等が挙げられます。

さらに、自賠責保険制度の目的が、「被害者の保護を図り、自動車運送の健全な発達に資する」というものであり、被害者に最低限の補償をするにとどまるものです。したがって、自賠責基準は最低限の補償に過ぎず、慰謝料額が裁判所基準に比べ低額になります。また、自賠責基準では、近親者固有の慰謝料は「父母・配偶者・子」に限られています。

自賠責基準の死亡慰謝料額

① 被害者本人の慰謝料
350万円

② 遺族の慰謝料
1名の場合:550万円
2名の場合:650万円
3名以上の場合:750万円

※被害者に被扶養者がいるときは、さらに200万円が加算されます。

※自賠責基準の場合は、「被害者本人」と「遺族」を明確に分けて、加算して全体の慰謝料額が算出されます。

裁判所基準の場合

裁判所基準の死亡慰謝料額

一家の支柱:2,800万円
母親、配偶者:2,500万円
その他:2000万円~2500万円  

※被害者の属性を、「一家の支柱」「母親、配偶者」「その他」に区分けして、その属性に対して、上記金額を目安とし、慰謝料の賠償がされます。

※「その他」とは、独身の男女、子供、幼児等をいいます。

※上記金額には、原則近親者固有の慰謝料請求権の賠償金額を含んだ額になります。

※ただし、上記基準は具体的な事情により、増減されるものであり、一応の目安を示したものにすぎません。

引用元:民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻 2019年「赤い本」

裁判所基準で交渉するため

上記のとおり、死亡慰謝料の相場は用いる基準によって様々です。そして、被害者側が自身で加害者側の保険会社と死亡慰謝料額を交渉する場合は、通常、自賠責基準と同等、若しくは少し上積みされた金額で提示されることがほとんどです。

しかし、最も適正な基準は、上記でご説明しましたとおり、裁判所基準となりますので、この裁判所基準をベースに示談交渉して賠償を受けられなければ、適正な損害賠償を受けたことにはなりません。

そこで、弁護士の出番となります。既にご存じの方もおられると思いますが、弁護士が被害者の方の代理人として加害者側の保険会社と示談交渉する場合には、実際に裁判を提起しなくとも、裁判所基準をベースとして交渉します。

最後に -弁護士に相談するメリット-

交通事故による死亡慰謝料は、上記のとおり、弁護士が代理人となって交渉することにより、より適正な基準である裁判所基準をベースに賠償を受けられる可能性が高くなります。

また、不幸にも交通事故でご家族を亡くされた悲しみの中で、遺族の方が、任意保険会社との交渉、さらには裁判手続の準備や立証活動を行うことは大きな負担を伴うものであり、更なる苦悩を強いられることも想定されます。

このようなご負担を取り除き、適正な損害賠償を受けるためにも、交通事故に精通した弁護士にご相談されることをお勧めします。