交通事故の被害で発生する慰謝料の種類
交通事故に遭われてしまった場合、多大な身体的苦痛、精神的苦痛を負ってしまいます。この受けた精神的苦痛は,金銭によって賠償します。このお金のことを慰謝料と呼びます。慰謝料は、大きく分けると、以下の3種類に分類されます。
①入通院慰謝料 ②後遺障害慰謝料 ③死亡慰謝料
また、慰謝料を算定するに当たって、自賠責保険基準・任意保険基準・裁判所基準の3つが存在します(詳しくは“交通事故の損害賠償額を決める3つの賠償基準”を参照ください)。本記事では、交通事故の被害で発生する3種類の慰謝料について解説します。
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この記事の目次
入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、交通事故により負った怪我に対する慰謝料です。基本的には、入院・通院期間が長ければ長いほど、金額は多く受け取れます。同じような怪我でも、人によって治り方や痛みが違い、客観的な基準を設定しにくいので、治療が終了する症状固定までの期間で決定します。
自賠責基準での計算方法
「実通院日数の二倍」か、「実通院期間」のうち少ない方に、4,200円をかけて計算します。たとえば,一ヶ月の内10日通院した人は、その二倍である20をかけますので,84,000円が慰謝料となります。他方で、一ヶ月の内25日通院したとしても、実際の通院期間は30ですから、4,200×30である126,000円を超えることはありません。
また,自賠責保険には、120万円までの上限があります。この上限には,治療費や休業損害なども含まれていますので,長期間治療をされる等して,既に治療費や休業損害が多く支払われている方は,払われる慰謝料が少なくなってしまいます。
任意保険基準の計算方法
任意保険基準でも、入通院期間に応じて入通院慰謝料が支払われます。但し,任意保険会社も利益を出すために,自賠責保険の基準を参考にして基準を決定しています(保険会社は,被害者に支払った金額のうち,自賠責保険から,自賠責基準で計算された金額を受け取ることができるためです。)。
そのため,通常の事故の場合には自賠責保険の金額はあまり変わりません。また,重症の場合をのぞいて,治療費・休業損害・慰謝料合計額が自賠責の上限額である120万円を超えてしまっている場合,自賠責の計算方法で算出された慰謝料を更に減額調整することもあります。
弁護士基準の計算方法
弁護士基準の場合は保険会社の基準と異なり、月ごとの治療期間を基準に計算することになっており,通院の日数は副次的な調整要素とされています。任意保険基準よりも基準額が高いため、単純に同じ入通院期間でもより多く慰謝料が支払われます。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、交通事故によって負った怪我が、今後治癒しないと判断され後遺障害と認められると、受け取れる慰謝料です。治療終了後や症状固定後、痛みやしびれが残っていると主張するだけでは後遺症止まりで、後遺障害ではありません。この後遺症を証拠に基づいて機関に申請し、等級認定されて初めて後遺障害となります。
こちらは、入通院慰謝料とは別に支払われる慰謝料となっています。むちうちや骨折後に痛みやしびれが残った場合には,後遺障害の第14級が認定されることがあります。その際の慰謝料額も,自賠責保険の基準では32万円,弁護士基準では110万円と,大きな差が生じます。
死亡慰謝料
被害者本人が亡くなってしまった場合に、遺族に支払われる慰謝料です。遺族が受け取れる慰謝料として、亡くなってしまった被害者本人への慰謝料と、被害者の近親者への慰謝料の二種類があります。弁護士基準で正当な金額を得るためには、弁護士に依頼するしかないのが現状です。
自賠責基準の賠償額例
本人:350万円
遺族1名:本人慰謝料に加えて550万円
2名:本人慰謝料に加えて650万円
3名以上:本人慰謝料に加えて750万円
※被害者に扶養者がいる場合は上記金額に200万円を加算
任意保険基準の賠償額例
被害者が高齢者(65歳以上)である場合:1,100~1,400万円
被害者が未就労の18歳未満である場合:1,200~1,500万円
被害者が一家の支柱である場合:1,500~2,000万円
被害者が上記以外の場合:1,300~1,600万円
裁判所基準の賠償額例
被害者が母親、配偶者である場合:2,500万円
被害者が一家の支柱である場合:2,800万円
その他の場合:2.000万円~2,500万円