醜状障害の類型と逸失利益
醜状障害とは、外貌(頭部、顔面、頚部)や、上肢および下肢の露出している部分に交通事故の傷跡が残り、将来において、その傷跡が残ってしまう後遺障害をいいます。比較的ご相談をよく受けるものは、顔面に線状の傷が残った方や瘢痕(あざ)が残った方です。
特に外貌醜状における後遺障害は、最も低い等級でも12級の後遺障害となり高額の賠償(後遺障害慰謝料だけで280万円~290万円となります。)を受けることができます。外貌醜状における後遺障害は、比較的明確な基準で定められています。
そこで、本記事では、身体に傷跡が残った方が、その傷跡が後遺障害に該当するか否かを判断して頂けるよう、認定基準を説明します。
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醜状障害の逸失利益
また、醜状障害は、一般的にそれ自体が身体的な機能を低下(運動能力等)させるものではありません。そのため、醜状障害は、現在はもちろんのこと、将来的にも「減収を生じさせるものではない」、「具体的に労働する能力の喪失をもたらすものではない」など、古くから、労働能力の喪失や、減収に対する賠償(逸失利益といいます。)を否定する考え方がありました。醜状障害によって後遺障害が認定された場合、必ずといって良いほど、この逸失利益が大きな争点となり、激しく争われています。そのため、本記事では、この醜状障害の逸失利益についても説明をします。
外貌の醜状障害について
外貌の醜状障害とは
まず「外貌」とは、頭部、顔面部、頸部のように、上肢及び下肢以外の日常的に露出している部分をいいます。それぞれの部分によって認定の基準が異なります。「頭部」とは、通常髪の毛の生えている部分をいいます。「顔面部」とは、いわゆる顔の部分で、その範囲は、下あごの骨の線と髪の毛の生えぎわとで囲まれた部分となります。そして「頸部」とは、顔面部よりも下、日常露出している部分をいい、あごの下の部分は、頸部に入ります。外貌に関する後遺障害は程度に応じて、以下3つの等級がありますので、詳しくご説明していきます。
外貌に著しい醜状を残すもの~後遺障害等級7級~
頭部に著しい醜状を残すもの
てのひら大以上の瘢痕(あざ)または頭蓋骨のてのひら大以上の欠損(欠けてなくなることをいいます)が残った場合、これに該当します。「てのひら」とは、指を除いた部分を指しますが、個人差もあります。通常は、被害者ご本人のてのひらを目安としています。なお、頭蓋骨のてのひら大以上の欠損により、頭部の陥没が認められる場合で、それによって脳の圧迫で神経症状がある場合、この外貌醜状の等級と神経障害の等級のうち、いずれか上位の等級が認定されることとなります。
顔面に著しい醜状を残すもの
顔面に鶏卵大面以上の瘢痕、または10円硬貨大以上の組織陥没が残った場合、これに該当します。
頸部に著しい醜状を残すもの
てのひら大以上の瘢痕が残った場合が、これに該当します。
小括
上記ア~ウのとおり、これらの外貌醜状は、傷跡が極めて大きく、かつとても人目につくものですので、その精神的苦痛は大きく、等級としては上位の7級が認定されることとなります。7級の後遺障害慰謝料は1000万円~1030万円(裁判所基準です。慰謝料基準につきましては、別記事の賠償基準に関するものをご確認ください。)ですので、高額の賠償金となります。
外貌に相当程度の醜状を残すもの~後遺障害等級9級~
外貌に相当程度の醜状を残すものの内容
外貌に相当程度の醜状を残すものとは、「顔面部」に、「5㎝以上」の「線状痕」が残った場合に該当します。頭部や頸部には、この後遺障害等級は存在しません。「線状痕」についてですが、直線であれば、定規で測ってみてください。曲線の傷の場合、測定方法が複数存在しますので主治医と相談をしてみてください。
線状痕が複数ある場合
補足となりますが、2個以上の線状痕が隣接しており、または、相まって1個の線状痕と同程度以上の醜状になっている場合、それらの長さを合算して等級を認定することとなります。例えば、顔面に2.5㎝の線状痕が2個あったとします。各々の痕は、それだけでは、後遺障害の認定を受けるものではありませんが、非常に近い距離に存在し、1個の線状痕と同視できる場合などは合算して5㎝とし、9級の後遺障害が認定される場合があります。これは、線状痕だけではなく、瘢痕の場合も同様に考えられています。したがいまして、複数の線状痕、瘢痕がある方が、1個の痕だけでは認定を受ける程度のものでなくても、合算できる可能性がありますので、積極的に弁護士までご相談ください。
小括
以上のとおり、外貌に相当程度の醜状を残すものとは、顔面部に5㎝以上の線状痕が残った場合に認定されるもので、その後遺障害等級は9級となります。ご自身の顔面に5㎝もの線状痕が残ったことを想像してみてください。それだけで、精神的苦痛はやはり大きなものとなります。9級の後遺障害慰謝料は670万円~690万円(裁判所基準です。)となりますので、比較的高額の賠償が認められることとなります。
外貌に(単なる)醜状を残すもの~後遺障害等級12級~
頭部に醜状を残すもの
外貌の醜状は、「著しい醜状」、「相当程度の醜状」と区別するために「単なる醜状」といわれています。頭部に醜状を残すものとは、鶏卵大面以上の瘢痕、または頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損が残った場合を指します。
顔面に醜状を残すもの
顔面部では、10円硬貨大以上の瘢痕、または3㎝以上の線状痕が残った場合を指します。
頸部に醜状を残すもの
頸部では、鶏卵大面以上の瘢痕が残った場合を指します。
小括
上記ア~ウのとおり、これらの外貌醜状は、他の「著しい醜状」、「相当程度の醜状」よりも比較的軽微な傷跡となってはいますが、やはり人目に付く傷跡が将来において残存する以上、その精神的苦痛は小さくありません。そこで、等級としては12級が認定されることとなります。12級の後遺障害慰謝料は280万円~290万円(裁判所基準です。)となり、決して少額とはいえないものですので、見過ごさずに積極的に外貌醜状の認定申請を行いましょう。
外貌醜状は、人目につく程度以上のものでなければなりません
等級認定の対象となる「外貌の醜状」とは、他人から見て、醜いと思わせる程度、すなわち人目につく程度以上のものであることが原則となります。認定対象となりうる傷跡があったからといって、直ちに後遺障害が認定されるというわけではありませんので要注意です。瘢痕、線状痕及び組織陥没であって、眉毛、頭髪等にかくれる部分については、人目につかないため、醜状として取り扱われません。例えば、眉毛に沿って、3.5㎝の線状痕があり、そのうち1㎝が眉毛に隠れてしまい、人目につかない場合、顔面上に残った線状痕は2.5㎝となりますので、外貌の単なる醜状に該当しないこととなります。人目につく程度以上か否かを判断するにあたっては、傷跡の色素沈着の程度(黒くなるなど肌の色と異なっていて目立つかどうか)、部位、形態等を考慮し、傷跡の長さや大きさだけではなく、実際に被害者ご本人と面談して、他人から見て醜い、人目につくかどうかを認定することとなります。
露出面の醜状障害について
露出面の醜状障害とは
露出面とは、上肢・下肢の日常露出する部分をいいます。いずれも等級は、原則として14級となります。それぞれ、対象となる部分が明確に定められていますので、以下、それぞれご説明します。
上肢の醜状障害について
自賠責保険上の醜状障害において、上肢の露出面とは、「肩の関節以下(手部を含む)」とされています。これに対し、労災保険においては、「肘の関節以下」とされており、取り扱いが異なります。例えば、肩から肘の間に傷跡が残ってしまった場合、労災保険では醜状障害として扱ってもらえませんが、自賠責保険では醜状障害が認められる可能性があるので、注意が必要です。この、「肩の関節以下」の部分に、てのひら大以上の瘢痕または線状痕が残った場合に、14級の後遺障害が認定されます。なお、線状痕についても、その線の面積がてのひら大以上となることが必要です。
下肢の醜状障害について
自賠責保険上の醜状障害において、下肢の露出面とは、「股関節以下(足背部を含む)」とされています。これに対し、労災保険においては、「膝の関節以下」とされており、取り扱いが異なりますので、上肢同様、注意が必要です。この部分に、てのひら大以上の瘢痕または線状痕が残った場合に、14級の後遺障害が認定されます。線状痕について、その線の面積がてのひら大以上となることが必要である点も、上肢と同様です。
てのひらの3倍以上の大きさの瘢痕を残した場合
例外的に、上肢または下肢に、てのひらの大きさの3倍程度以上の瘢痕を残した場合には、後遺障害12級相当と認定されます。複数の瘢痕または線状痕が存在する場合には、それらの面積を合計して認定することが出来ます。ただし、この場合、少なくともてのひら大以上の瘢痕を残すものに該当する程度の瘢痕または線状痕が1個以上残存することが必要ですので、これに該当しない程度の瘢痕または線状痕のみが複数存在している場合は面積合計の認定方法は出来ませんので、ご注意ください。
その他の部位の醜状
稀なケースですが、以下のとおり、日常露出していない部分についても、後遺障害が認定されるケースもあります。
全面積の1/4程度以上の範囲に瘢痕を残す場合
胸部および腹部、または、背部および臀部の全面積の1/4程度以上の範囲に瘢痕を残すものは、後遺障害14級相当と認定されます。
全面積の1/2程度以上の範囲に瘢痕を残す場合
胸部および腹部、または、背部および臀部の全面積の1/2程度以上の範囲に瘢痕を残すものは、後遺障害12級相当と認定されます。
逸失利益について
醜状障害と逸失利益について
突然ですが、顔面部に3㎝の線状痕が残り、外貌醜状(12級)の認定を受けた35歳の男性、現場作業監督の方の逸失利益はどの程度でしょうか?そもそも、この線状痕が現場作業監督における労働能力を喪失させることはあり得るでしょうか?冒頭述べました通り、醜状障害は、一般的にそれ自体が身体的な機能を低下(運動能力等)させるものではありません。醜状障害は、現在はもちろんのこと、将来的にも減収を生じさせるものではないのではないか、具体的に労働する能力の喪失をもたらすものではないのではないかと逸失利益を否定する考え方が、古くからありました。現在に至っても、醜状障害によって後遺障害が認定された場合、逸失利益が大きな争点となり、激しく争われています。これに関しまして、裁判所の考え方に沿って、注意すべきポイントをご説明します。
逸失利益を判断する際の要素
外貌醜状といっても、被害者の性別、年齢、部位、程度など事例は様々ですので、一概に逸失利益の基準を定めることは出来ません。裁判所においては、醜状障害の内容及び程度、被害者の性別、年齢、職業等を考慮した上で、①醜状痕のために配置を転換されたり、職業を選択する幅が狭められた等の形で、労働能力に直接的な影響を及ぼすおそれのある場合には、一定割合の労働能力の喪失を肯定し、逸失利益が認められる可能性があります。また、②労働能力への直接的な影響は認めることが困難だけれども、対人関係や対外的な活動に消極的になる(例えば、営業職等)などの形で、間接的に労働能力に影響を及ぼすおそれがある場合には、後遺障害慰謝料を基準額から加算する形で増額してもらえる可能性があります。以下、それぞれの要素について、補足してご説明します。
醜状障害の内容及び程度
外貌に著しい醜状を残すもの(後遺障害等級7級)が問題となった裁判例では、やはり人目につく程度が著しく、業務に多大な影響を及ぼすことが多いため、広く逸失利益が肯定されています。したがいまして、醜状障害の内容及び程度は、逸失利益を判断するにあたっての出発点になるでしょう。通常の就労者は、多かれ少なかれ、他人との接触、交流の中で業務に従事しており、醜状障害が円満な対人関係を阻害する要因であることは理解できるところです。醜状が「著しい」程度に達していれば、労働能力の喪失は相当顕著であるといえます。他方、相当程度の醜状や単なる醜状の場合は、やはりそれだけでは逸失利益を肯定することはできず、その部位や程度、そして以下の要素も含めて判断されることになるでしょう。このように、醜状障害の内容及び程度は、逸失利益を判断するにあたっての出発点となり、その醜状障害の程度が重ければ重いほど、逸失利益が認められやすくなります。
被害者の職業
どのような職業であるかも極めて重要な要素と言えます。労働能力について、対人関係の円滑化も重要な要素であると捉えられており、被害者が実際に業務に従事する上で、醜状障害がまったく影響しない職業というものはほとんどありません。他方で、ホステスや営業担当者など、円満な対人関係の構築や円滑な意思疎通の実現が中核をなすような職業もあれば、もっぱらデスクワークのみを担当される事務職の方など、大きな影響が生じない職業もあります。そのため、職業によって労働能力に対する具体的な影響が異なることは明らかですから、逸失利益の範囲を決めるためには、これが重要視されるのです。
被害者の性別
醜状の程度を問わず、女子の裁判例では、男子に比べて、広く逸失利益が肯定されている傾向があります。女子の場合には円満な対人関係の構築や円滑な意思疎通の実現が職務において中核をなす職業に就いている事例が多いという結果と理解すれば、被害者の職業によるものに過ぎず、性別それ自体によるものではないという考えもあり得るところです。しかし、醜状障害における後遺障害認定の判断要素は男女共通ですので、それにも関わらず、女子の裁判例では、男子に比べて、広く逸失利益が肯定されている傾向からすれば、やはり裁判所は性別も重要な要素と捉えていると考えます。女子の方が、対人関係における客観的なダメージが大きいとの考えが根底にあると思われます。
被害者の年齢
年齢が逸失利益の認定判断に際して影響を与えることは限定的であると思います。もっとも、若年者であれば、転職の可能性を狭めてしまう可能性がありますので、若年者の逸失利益が問題となった場合には、積極的に、この点を主張していくことは意味のあるものであると考えています。
小括
以上より、醜状障害における逸失利益を認めてもらうためには、上記の要素を踏まえ、具体的に説得的に主張する必要があり、簡単なものではありませんので、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
外貌醜状の労働能力喪失期間について
逸失利益が肯定された裁判例をみますと、基本的には就労可能期間の終期(67歳)までが認定されています。醜状障害が経年的に改善される症例はほとんどなく、逸失利益自体を認めるのであれば、喪失期間自体を限定する理由はないように思います。
外貌醜状の労働能力喪失率について
他方で喪失率については千差万別です。個別具体的に判断するしかありません。そこで、参考となる裁判例を以下のとおり掲載しております。
最近の裁判例(逸失利益肯定例)
著しい醜状を残すもの(7級)の具体例
就労可能期間の終期(67歳)まで25%の逸失利益肯定事例
大学生(女性、23歳)の顔面部の線状痕(7級)及び歯牙傷害(12級)について、併合6級となり、コミュニケーション能力に相当な支障が生じていることや被害者の性別、年齢を考慮し、44年間25%の逸失利益を認めました(名古屋地裁平成28年7月27日判決)。
就労可能期間の終期(67歳)まで10%の逸失利益肯定事例
介護職員(女性、54歳)の前額部に15㎝×2㎝の瘢痕と同部分の知覚違和感(7級)につき、障害者やその家族等と円満な関係を構築し円滑な意思疎通を実現する上で支障が生じるというべきであるが、減収がなく、化粧や毛髪等である程度目立たなくすることができるとして、13年間10%の逸失利益を認めました(東京地裁平成28年1月25日判決)
相当程度の醜状を残すもの(9級)の具体例
就労可能期間の終期(67歳)まで35%の逸失利益肯定事例
空港ラウンジで接客業に従事する契約社員(女性、33歳)の化粧をしても正面から人目につく右頬から右耳殻に至る長さ9㎝の線状痕等(9級)につき、34年間35%の逸失利益を認めました(名古屋地裁平成26年5月28日判決)。
就労可能期間の終期(67歳)まで25%の逸失利益肯定事例
地方公共団体の嘱託職員等としてカウンセリング業務に従事していた兼業主婦(女性、37歳)の前額部中央やや右から左眼まぶたにかけての線長約5.6㎝の線状痕に左前額部から左眉毛上部にかけての線長約1.6㎝の線状痕がY字型に繋がる縫合痕(9級)につき、29年間25%の逸失利益を認めました(神戸地裁平成28年5月28日判決)。
単なる醜状を残すもの(12級)の具体例
10年間10%、その後10年間5%の逸失利益肯定事例
予備校生(男性、29歳)の頸部、腰部の神経症状(14級)、顔面醜状(12級)につき、男性といえども醜状痕によって希望する仕事への就職が制限されたり、就職しても営業成績があがらなかったり、仕事の能率や意欲を低下させて所得に影響を与えることが十分に考えられるとして、症状固定から10年間10%、その後10年間は5%の逸失利益を認めました(東京地裁平成13年8月22日判決)。
就労可能期間の終期(67歳)まで5%の逸失利益肯定事例
舞台俳優・衣料品店販売員(男性、25歳)の外貌醜状(12級)につき、音楽大学卒業後、舞台俳優を目指して現に歌手やダンサーとして舞台活動を行っており、舞台活動においては外見も重要な要素であることは否定できないとして、67歳まで5%の逸失利益を認めました(東京高裁平成28年12月27日判決)。
逸失利益ではなく、後遺障害慰謝料の増額で解決が図られた例
既にご説明したとおり、労働能力への直接的な影響は認めることが困難だけれども、対人関係や対外的な活動に消極的になる(例えば、営業職等)などの形で、間接的に労働能力に影響を及ぼすおそれがある場合には、後遺障害慰謝料を基準額から加算する形で増額してもらえる可能性がありますので、以下に最近のものをご紹介いたします。
後遺障害慰謝料を200万円ほど増額した事例
顔面醜状(9級)の会社員(37歳・男性)につき、逸失利益を認めないことを考慮したうえで、後遺障害慰謝料を900万円(通常は690万円程度)に増額されました(大阪地裁平成27年7月17日判決)。
後遺障害慰謝料を100万円ほど増額した事例
左前額部、左頬部、口元に線状痕や円痕があるとして第12級となった男児(8歳)につき、「将来における労働能力の喪失を認めるに足りるものとまでは認め難い」とされつつも、後遺障害慰謝料が400万円(通常は290万円程度)に増額されました(名古屋地裁平成29年1月25日判決)。
小括
以上が逸失利益を肯定した裁判例の一部をご紹介したものですが、特に労働能力喪失率については、個別具体的に判断せざるを得ません。否定された例もたくさんあります。従いまして、一度、弁護士の法律相談を受けてみてはいかがでしょうか。
まとめ
以上のとおり、醜状障害は、それが目立つものと評価できるのか、複数の傷は合算して考えてよいのかという点で、専門的な判断を迫られる可能性があります。特に、外貌の醜状は、その認定基準自体はある程度明確なものとなっておりますが、逸失利益も激しく争われます。そのため、一般の方々が交渉した場合は、ゼロ回答(逸失利益をゼロ円とする回答)が提示されることも珍しくありません。逸失利益を認めてもらったり、後遺障害慰謝料の増額を迫るためには、上記でご説明した要素をすべて取り上げて、説得的に主張する必要があります。一般の方々において、そのような説得的な主張を展開して交渉することは難しく、保険会社も聞く耳を持たないスタンスを貫く可能性が高いといえますし、裁判所に判断を求めざるを得ないこともあります。したがいまして、醜状障害については、これから認定をお考えの方はもちろんですが、既に認定を得ている方も、積極的に弁護士にご相談いただくことが推奨されるのです。