交通事故に強い弁護士の探し方とは
毎日、全国各所で交通事故が発生していると言われているものの、ご自身が交通事故被害者になったことがあるという方は多くないでしょう。
いざご自身が交通事故の被害に遭ってしまった場合、治療はどのぐらいの期間になるのか、仕事を休まなければならないが生活はどうなるのか、加害者側の保険会社から電話にどのように対応すればいいのかなど、様々な局面で不安になります。
また、周りの人に相談をすると、「弁護士に相談した方がいいよ。」と言われたものの、何を基準に選べばいいのか分からないという悩みを持たれている方は少なくないでしょう。
本稿では、そのような悩みを持たれている方に、交通事故に強い弁護士を見つけるためのポイントをご紹介します。
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この記事の目次
弁護士に依頼するとどうなる?
まず交通事故に強い弁護士を見つけるポイントを紹介する前に、そもそも交通事故被害者が弁護士に依頼した場合に、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
交通事故事件の解決の流れ
前提として、交通事故に遭ってから解決までの流れを知っていただきます。
「事故発生」⇒「入院・治療」⇒「症状固定」⇒「後遺障害認定」⇒「示談・裁判」⇒「解決」
以上が、交通事故に遭ってから解決に至るまでの概要を示したものです。この流れをもとに、交通事故事件において弁護士が代理人となってできる主な役割をご紹介します。
交通事故事件における弁護士の役割
交渉窓口になる
交通事故被害者の方が弁護士に依頼することにより、加害者側保険会社との交渉窓口をすべて弁護士にすることができます。
交通事故では、事故や通院の状況、お車の修理などについて、保険会社と電話でやり取りをしなければならない事項が多く想定されます。
保険会社に対しては、営業時間である平日の9時~17時までしか電話が通じないのにもかかわらず、保険会社からは何時であっても電話がかかってくるため、特にお仕事が忙しい方や、子育てをされている被害者の方にとっては、これらの連絡だけでも大きな負担となります。
弁護士に依頼すれば、弁護士が被害者の代理人としてこれらのやり取りを行うため、治療やお仕事等に集中いただけます。
後遺障害申請のサポート
一定期間治療を継続しても完治しなかった症状に対しては後遺障害の申請を行うことが考えられますが、その申請においてもサポートを受けることができます。
具体的には、後遺障害の申請を被害者主導の方法で行い、その際に後遺障害等級認定に関する弁護士の意見を付して申請することができます。
そうすることにより、より適正な等級認定が得られる可能性が高くなると言えます。
裁判所基準での示談交渉
交通事故事件においては、最終的には加害者側との示談交渉になります。
示談交渉の場面においては、慰謝料や休業損害、逸失利益等の各損害項目の金額が争点となることが想定されます。例えば、慰謝料について、保険会社は自賠責基準で提案してくることがありますが、弁護士が代理人として交渉する場合にはいわゆる裁判基準で算定します。そうすることにより、できる限り早期に適正な示談金を得ることを目指します。
また、過失割合が争点となるケースも想定され、その場合には事故状況を正確に把握する必要があります。事故現場付近に監視カメラがあれば、その映像記録を保存しておいてもらい、後に映像を獲得することができるかもしれません。また、弁護士が、警察が作成した事故状況の見取り図(実況見分調書)を取り付け、これにより事故状況を把握することも有効です。
このように、弁護士が示談交渉することにより、適切な損害賠償を受けられる可能性が高くなります。
弁護士を選ぶ基準
以上で見てきたとおり、交通事故事件における弁護士の役割は、事故直後から最終的な示談交渉の場面まで、多岐に渡ります。
そのため、交通事故の被害者にとっては、交通事故に遭ってから間もない時点で、最後まで安心して任せることができる弁護士選びが非常に重要になってきます。
そこで、交通事故被害者が弁護士を選ぶにあたり、どのようなポイントに注目すべきかをお教えします。
弁護士にも専門分野がある
交通事故事件を取り扱ったことがあるという弁護士はたくさんいるでしょう。
しかし、交通事故事件を取り扱ったことがあるということと専門的に取り扱っているということとは別問題です。
弁護士には、明確に「専門」という制度はありませんが、法律事務所や弁護士により専門的に取り扱っている分野は分かれます。
「専門=強い」とは直ちには言えないものの、交通事故事件に熱心に取り組んでいるかどうか、専門的に取り扱っているかどうかはポイントとなるでしょう。
弁護士選びの重要ポイント
解決実績
先にみた専門性とも近い視点にはなりますが、解決実績も弁護士選びの重要なポイントとなります。
注力している分野であればそれ相応の事件数をこなしているでしょうし、数をこなしていればそれ相応の経験やノウハウも有していると考えられます。
また、数字は嘘を提示することはできないので、その点でも明確な基準といえるのではないでしょうか。
専門知識
次に、専門知識を有しているかという点も非常に重要なポイントと言えます。
交通事故事件は、法律的に言うと「不法行為に基づく損害賠償請求」です。弁護士としては比較的なじみのある分野といえるでしょう。
しかし、弁護士が法律の知識を有していることは当然です。
もう少し掘り下げて「交通事故の損害賠償請求」と捉えると、損害賠償請求という法律的な理屈に加え、「交通事故」に関係する様々な分野での知識も必要となってきます。
物損に関して言えば車の構造に関する知識も必要になるため、物理や工学的な観点からの分析も求められますし、人身損害については医学的な知識も必要になってきます。
また、交通事故の治療を継続していく中で、健康保険や労災保険を利用した方が被害者にとって有利な結果になることもありますので、このような他の制度に関する知識や手続に精通しているかも重要なポイントです。
専門家との連携
このように、交通事故事件において、工学的な知識や医学的な知識は必須といっていいでしょうが、これらの法律以外の分野に関する知識を弁護士が習得するということにも限界があります。
そこで、弁護士がこれらの専門家との連携を取ることが可能であるかという点は、次に重要なポイントといえるでしょう。
「餅は餅屋に」というように、やはり各分野の専門家に任せることができれば、それに越したことはありません。
例えば、先にご紹介したように、後遺障害の申請にあたり、弁護士が意見書を付けるということも想定されますが、その意見書の作成にあたり、整形外科医師と協力してMRIを読影し、画像所見として指摘できれば、より説得力のある意見書となることは想像に難くないでしょう。
話しやすさ
もう一つ大事なポイントは、「話しやすさ」です。
弁護士と依頼者という関係も、当然ながら人と人との関係です。特に交通事故事件では、交通事故にあった怖さやケガの辛さ、今後の不安まで、きちんと弁護士に打ち明けて相談できるかどうかが重要になってきます。
また、そのような依頼者の気持ちを真摯に聞いてくれるかという点もきちんと見極めましょう。
人生において、弁護士に事件を依頼するということはそう多くないでしょう。そのような大事な局面であるからこそ、「この人に任せたい!」という感覚が重要と言えます。
費用
通常、弁護士に事件を依頼するにあたっては、着手金と報酬金がかかります。着手金とは、事件を依頼する段階で発生する費用です。
近年では、自動車の任意保険等に弁護士費用特約が付帯しているケースが多く、その場合には弁護士の着手金と報酬金は保険会社から払われます(ただし、保険会社ごとに概ね300万円という上限が設定されています。)ので、あまり気にすることはないかもしれません。
しかし、このような弁護士費用特約が無い場合に、ただでさえ交通事故によるケガで仕事ができずに収入への不安がある中で、着手金を支払うということは相当なご負担となってしまうでしょう。
この点、弁護士費用は、法律事務所ごとに設定されており、内容は様々ですが、着手金を無料とし、成功報酬制としているところもあります。
そのような交通事故被害者の実情に沿った費用体系を設定しているかどうか、ご自身にとって利用しやすい費用体系となっているかどうかも重要なポイントと言えるでしょう。
相談から依頼までの流れ
さて、これまで交通事故に強い弁護士を選ぶポイントを紹介してきましたが、最後に、弁護士に依頼するまでの流れをご紹介します。
電話・メール問い合わせ
交通事故に遭ってしまった場合、まずは警察に連絡し、ご加入の保険会社に報告を入れるのが先決ですが、その後、弁護士にも相談してみてください(なお、弁護士へ相談するタイミングについては、別の稿で紹介しています。)。
最近では、メールで問い合わせできるところも増えていますので、ご自身に合った方法で結構です。
電話またはメールで問い合わせをし、法律相談の予約をします。
法律相談
そして、法律相談です。法律相談では、不安に思っていることや疑問に思ったことを遠慮なく質問してください。
そして、弁護士を選ぶにあたってのポイントである専門性や話しやすさという点を見極めてください。
また、弁護士費用についても必ず確認してください(特に弁護士費用特約に加入されていない方)。
法律相談に行ったからといって、必ず依頼しないといけないということはありません。
前掲のとおり、弁護士に依頼するという局面は、そう滅多にあるものではないので、ご自身が納得して委任できる弁護士に出会えるまで、複数の弁護士に相談をされることも、満足いく弁護士選びの一つです(弁護士費用特約に加入されている場合には、1事故につき10万円までの法律相談費用が保険金として支払われるという内容が多いです。)。
委任契約
法律相談を実施し、弁護士の説明や方針をよく聞き、信頼できると判断すれば、いよいよ委任契約を締結します。
これにより、弁護士が代理人として全面的に被害者をサポートすることができます。
さいごに
本稿では、交通事故に強い弁護士を見つけるためのポイントをいくつかご紹介しました。
交通事故事件では、弁護士が窓口となることにより、被害者の方が治療やお仕事に専念できるなどの精神的なご負担を軽減できたり、最終の示談交渉においても適正額での賠償を得られるよう交渉するなど、多くの面でのサポートをご提供できます。
この記事が、交通事故の被害に遭われた方が安心して依頼できる弁護士と出会える一助となりますと幸いです。