「人身事故」と「物損事故」について解説
交通事故を大きく分けると、人の身体に傷害を生じさせてしまう「人身事故」と、人の財産を傷つけてしまう「物損事故」とがあります。これらは別々に生じることもあれば、同時に起きることもあります。本記事では、「人身事故」と「物損事故」という2種類の交通事故の種類について、わかりやすく解説します。
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交通事故の人身事故について
人の生命や身体が侵害された交通事故を「人身事故」といいます。人身事故は人の生命や身体を侵害する事故ですので、その被る損失は非常に大きなものとなります。また、人身事故は損害の内容によって、大きく「傷害事故」、「後遺障害事故」、「死亡事故」の3つに分類されます。
傷害事故
傷害事故は、人の身体に対して傷害を与えるという結果を発生させた事故のことを言います。請求できる主な損害項目は以下の通りです。
積極損害
治療費(入院や通院に伴い、医療機関に対し負担しなければならない金銭)・通院交通費・入通院慰謝料
消極損害
休業損害
後遺障害事故
傷害事故のうち、後遺障害が残ってしまうような傷害事故を後遺障害事故と言うことがあります。請求できる損害賠償は以下の通りです。
積極損害
治療費・通院交通費・入通院慰謝料・後遺障害慰謝料(将来の生じる介護費や介護のための改築・改造費用が認められる場合もあります)
消極損害
休業損害・後遺障害逸失利益
死亡事故
人身事故の中でも、人の生命が奪われたケースの事故を死亡事故と言います。請求できる損害賠償は以下の通りです。
積極損害
亡くなるまでの損害(傷害事故の損害項目)・葬儀関連費用・死亡慰謝料(本人分・遺族分)
消極損害
死亡逸失利益
交通事故の物損事故について
人の身体ではなく、財産が侵害された事故のことを物損事故と言います。お車や事故当時に着用していた物品、ペットに損害が生じた場合が物損事故として扱われますが、原則として精神的損害は認められず、財産的損害の賠償のみが認められることになります。つまりは、物の修理費用や買い直しに要する費用ということです。
迷ったら専門家への相談を
人身事故については、この記事においてご紹介した以外の項目が損害として認められることがありますし、損害の計算方法が色々と存在するので、ご自身で示談をしてしまうと、示談金が安くなるような計算方法が用いられることもあります。
また、物損事故はそれほど高額な賠償にはなりづらいものの、物の現在の価値に基づいた賠償となることが多く、また、極めて例外的な事情がある場合には慰謝料請求が認められるということもあるなど、個人では賠償内容が妥当かどうかは判断しづらいという特徴があります。
そのため、示談の際には、一度弁護士へご相談いただき、保険会社からの提案に妥当性があるのか、ご確認された方がよいと思われます。