過失割合

交通事故の過失割合・過失相殺を解説

交通事故における過失割合・過失相殺とは?

交通事故に遭うと「過失割合」「過失相殺」という言葉を耳にする機会が増えますが、意味を正しく理解していない方も多いのではないでしょうか。

慰謝料などの損害賠償の金額とともに、交通事故問題では過失割合や過失相殺が争点となることが多いため、基本的な正しい知識を備えておくことは重要です。この記事では、具体的な事例を挙げながら過失割合と過失相殺について解説します。

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過失割合について解説

交通事故における過失割合とは

「過失」という言葉は、一般的な定義としては「落ち度」や「不注意」のことですが、「過失割合」は読んで字のごとく、過失の割合を意味する言葉です。交通事故における過失割合とは、「加害者と被害者、それぞれの過失の割合」数値化したものです。

交通事故が起こったとき、特に車両同士の交通事故ではお互いに動いている状態での事故が多いので、加害者か被害者のどちらか一方にだけ100%の過失があるというケースは珍しく、両者に過失があると判断されるケースがほとんどと言えます。

被害者側にも何らかの過失がある場合は、全ての過失が加害者に割り振られるのではなく、被害者にも負担が割り振られます。例えば、信号のある交差点で車同士が接触事故を起こしたとき、どちらの車線の信号も赤だったとします。この場合、どちらにも同等の責任があると言えるため、過失割合は50:50となります。

交通事故の過失割合には基準がある

交通事故は状況によって様々なケースが考えられますが、一定の基準がなければ、同じような交通事故でも異なる過失割合が認定されることになり、公平性が失われます。そのため交通事故の過失割合には、様々な事故のケースに応じた過失割合の基準が設けています。

過失割合の基準は、過去の判例や法律家による研究の積み重ねによって作られたもので、交通事故の裁判にも利用されています。「自動車同士」「自動車とバイク」「自動車と歩行者」などの関係車両の組み合わせや、「信号機のない交差点での事故」「追い越しざまの事故」「横断歩道上の事故」「一定の場所での事故」など、あらゆる交通事故の類型を踏まえた過失割合の基準が決められています。

「別冊判例タイムズ38」で過失割合の基準がわかる

交通事故のケースごとの過失割合については、「別冊判例タイムズ38」という法律雑誌に詳しく掲載されています。「別冊判例タイムズ」とは、「判例タイムズ」という法律雑誌から派生した特別の紛争事項を詳細に記載したものになります。「判例タイムズ」は、主に弁護士や裁判官、検察官などの実務家に読まれている法律の専門雑誌であり、全国の判例や論文などが掲載され、月1回発行されている雑誌です。

別冊判例タイムズの最新版は、2014年7月4日に発売された、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]」です。もし交通事故の過失割合について調べたい場合は、こちらの本をお読みになることをお勧めします。

※参考:民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]

過失割合は誰が決めるのか

過失割合は保険会社との示談交渉時に、保険会社から提示されるケースが多いでしょう。そのため、過失割合は保険会社が決定するものと勘違いしてしまう方もいますが、保険会社が一方的に決めて良いものではありません。

示談の段階では、保険会社と被害者が話し合って過失割合を決めることとなります。しかし、本来被害者に過失がないような事故でも、保険会社は少しでも被害者の過失を求めようとし、話し合いがまとまらないことも珍しくありません。そもそも、交渉に応じようとしない保険会社さえ存在します。

話し合いで合意できないからといって、保険会社の提示した過失割合で決まってしまうわけではありません。納得できない場合は裁判を起こし、裁判所の判決に委ねることができます。

実況見分調書

過失割合を決定する上で、重要な証拠となるのが「実況見分調書」です。実況見分調書とは、人身事故が発生した際、警察が現場検証を行って事故時の状況をまとめる書類です。

実況見分調書は警察の作成した書類なので、有効な証拠とできるでしょう。一方で、必ずしも被害者に有利な証拠となるとは限りません。コピーが入手できるので、まずは内容を確認し、有利な証拠となるようであれば有効に活用しましょう。

実況見分調書のコピーは次の手順で入手できます。

  1. 実況見分を行った警察署へ行き、加害者の送致先検察庁、送致日、送致番号を聞く。
  2. 送致先検察庁へ行き、送致日と送致番号を伝え、予約を申し込む。
  3. 予約日に送致先検察庁へ行き、コピーをとる

実況見分調書の閲覧・コピーの際には、身分証明書や印鑑、手数料が必要になる場合があるため、予約する際に必要なものを確認しておきましょう。

具体的な過失割合の例

それでは、よくある交通事故のパターンを例に、具体的な過失割合を紹介します。

信号機のある交差点上の事故の場合

信号機のある交差点で、直進している自動車同士の事故が起こったケースを見てみましょう。この場合は、信号機の色により基本的な過失割合が異なります。 基本的な過失割合とは、当事者の移動方法、事故現場の特徴及び対面信号機の色などから導かれた過失割合の判断の基礎となるものです。

この基本的な過失割合を基礎に、修正要素を踏まえて過失割合を算出します。 修正要素とは、基本的な過失割合では考慮しきれていない加害者・被害者双方の個別の過失を考慮することをいいます。具体的には、速度超過やよそ見運転や飲酒運転などです。 以下に記載する過失割合は、基本的過失割合のみを記載しております。

■一方の自動車の対面信号が赤、他方が青の場合
対面信号が赤の自動車は100%、青の自動車は0%です。

■一方の自動車の対面信号が赤、他方が黄の場合
対面信号が赤の自動車は80%、黄の自動車は20%です。黄信号の場合には、原則止まるべきなので、青信号の場合と比べて過失が重くなります。

■対面信号が赤同士の場合
どちらの車両も50%ずつとなります。

信号機のない交差点での事故の場合

信号機のない交差点での事故における過失割合を理解するには、「左方優先の原則」を知っておく必要があります。交通整理が行われていない道路を走行するときには、左側を走行している方が優先されます。そのため、交差点内でぶつかったときにも、左側から入ってきた自動車の過失割合が小さくなります。

また、信号機により交通整理の行われていない交差点での事故の場合、一方が他方より明らかに広い道路といえるか、一方に一時停止の規制があるか、一方が優先道路であるかなどの道路状況を踏まえたうえで、基本的な過失割合が決定されます。 さらに、交差点への進入に際し、それぞれの自動車が減速しているのかという点も基本的な過失割合の決定において考慮されます。

以下の例では、道路状況が同幅員であり一時停止の規制などがない交差点において、互いに直進している自動車同士の事故につき、それぞれの自動車が減速しているかどうかを区別して、記載しております。

■同じ速度で進入した場合
両方の車が同じくらいの速度で交差点に進入してきた場合には、左側の自動車の過失割合が40%、右側の自動車の過失割合が60%となります。左方優先の原則があるので、同じ状況でも左側の過失割合が小さくなるのです。

■左側の自動車が減速せず、右側の自動車が減速
左側の自動車の過失割合が60%、右側の自動車の過失割合が40%となります。減速をしなかった分、左側の自動車の過失割合が20%増やされ、反対に減速をした右側の自動車の過失割合が20%減らされます。

■左側の自動車が減速して、右側の自動車が減速しない
左側の自動車の過失割合が20%、右側の自動車の過失割合が80%となります。左側の車はきちんと減速したため基準の過失割合より20%減らされて、減速しなかった右側の車の過失割合が20%増やされています。

追突事故の場合

追突事故の場合の過失割合は、追突された側が0%、追突した側が100%となります。ただし、前の車が移動中の場合には、前の車にも過失割合が認められることがあります。

例えば、前方の車が急ブレーキをかけたために、後ろの車が追突してしまった場合には、追突された側にも30%の過失割合が認められます。 以上のように、裁判所が採用する法的な過失割合の基準では、それぞれの交通事故の状況に応じて過失割合を定めています。

過失割合のご相談は専門の弁護士まで

基本的には、事故形態別に基準はありますが、事故状況は多種多様ですので、適宜、ケースに合わせた修正がされます。そこで問題となるのが、保険会社から提示された過失割合が、実態にあったものかどうかという点です。

場合によっては、相手側の言い分が一方的に採用され、本来被害者である方が加害者とされるなど、知らないうちに立場が逆転しているケースもあります。保険会社というプロを相手に、自分の力だけで覆すのは相当難しいので、納得がいかない場合や不明点がある場合には、弁護士にご依頼ください。

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過失相殺について解説

過失相殺とは

過失相殺とは、交通事故の被害者側にも何らかの過失落ち度があると認められる場合には、損害賠償金額から被害者の過失割合分に応じて減額することを言います。事故による損害を両当事者に公平に分担させることが、過失相殺の目的です。たとえば、被害者の過失割合が30%なら、被害者が相手に請求できる損害賠償金は、3割減となります。

過失相殺の具体例

過失相殺の結果として被害者が受け取る金額がどのようなものになるのか、具体例を挙げながら解説します。

例えば、車同士が衝突した交通事故で重傷を負い、手足が不自由になる重大な後遺障害が残ったとします。結果、被害者には治療費や慰謝料など、合計で3,000万円の損害が発生しているとします。

被害者の過失割合が0%であれば、相手に対して3,000万円全額の支払を求めることが出来ます。しかし被害者の過失割合が30%なら、相手には3割減の2,100万円の請求しか出来なくなります。同じように、被害者の過失割合が40%なら4割減の1,800万円が請求額となります。

過失相殺の適用範囲

過失相殺の適用範囲は広く、治療費や休業損害、逸失利益、慰謝料など、請求対象がすべて減額されてしまいます。例えば、加害者と被害者の過失割合が73で、加害者から被害者へ損害賠償額が8,000万円だとすると、加害者の過失割合の7割に当たる、5,600万円だけが支払われることとなります。

もし過失割合が82であれば、6,400万円を受け取れ、800万円もの差が生まれます。正しい過失割合を決めることは、賠償額を決めるのと同程度に重要なものなのです。

過失割合に納得できない時には

被害者の過失が大きくなると、相手に請求できる金額が減るため、被害者にとって大きな不利益となります。そのため、「保険会社から提示された過失割合に納得出来ない」と、弁護士に相談をされる方が多くおられます。

過失割合は判例タイムズなどによって基準化されていますが、必ずしも適切な基準によって決められるわけではないのです。交通事故で、過失割合が適切に認定されない理由は、以下の2つです。  

理由① 保険会社が勝手に過失割合を決めてしまう

被害者が自分で保険会社と示談交渉をすると、保険会社は判例タイムズなどの基準を使用せず、不当な過失割合を押しつけようとすることがあります。保険会社は支払い額を抑えるために、決められた基準を無視する場合があるのです。

専門的な知識のない交通事故の被害者は、保険会社から「これが交通事故の相場です」などと説明を受けた場合、納得せざるを得なくなることも少なくありません。

理由② 加害者が事実と異なる証言をする

加害者側が交通事故の状況について嘘をつき、その証言が正しいと判断された場合、被害者側の過失割合を上げられてしまうことにつながります。被害者が異論を唱えても、相手の言い分を無理矢理通され、高い過失割合を押しつけられて賠償金を減らさることも珍しくありません。  

不当な過失割合への対処法

保険会社に提示された過失割合に納得できず不当と感じた場合、被害者側はどのようにすればよいのでしょうか。次に、その対処方法についてご説明します。

判例タイムズなどの基準を調べて反論する

相手の保険会社から不当な過失割合を押しつけられたときは、自分で適切な過失割合を調べることを推奨します。まず、別冊判例タイムズなどの書籍から自分のケースがあてはまる過失割合のパターンを探しましょう。

相手の主張する数字と異なる基準になっていたら、該当ページをコピーして相手の保険会社に提示してください。そうすると、相手が過失割合についての主張を訂正する可能性があります。

弁護士に相談する

被害者が自分で相手の保険会社に対応すると、どうしても限界があります。判例タイムズなどの該当ページを提示しても、何かしらの理由をつけて相手の保険会社が応じない可能性があります。そんなとき、まずは弁護士事務所の無料相談を利用することをお勧めします。

弁護士は、交通事故の過失割合や過失相殺に精通しているので、不当な過失割合を提示されても適切に反論することができます。 加害者が嘘の主張をする場合には、実況見分調書やドライブレコーダーの記録をチェックするなど、実際の事故の状況を確認します。弁護士は示談交渉のプロですから、こうした証拠を効果的に使い、被害者の過失割合が適正なものになるよう交渉します。

最後に

この記事では、過失割合の基準や過失相殺の具体例など、交通事故問題に備えて知っておきたい基本的な内容をご紹介しました。

加害者側の保険会社はできる限り支払い金額を抑えようとしてきます。相手の主張をそのまま鵜呑みしてしまうと、自分は悪くないのに損をしてしまう可能性があります。 

不当な理由で不利益を被ることのないよう、過失割合と過失相殺のことを正しく知り、困ったときには交通事故問題に強い弁護士に相談することを推奨します。

当事務所では、過失割合や過失相殺に限らず、交通事故問題に関する様々なお悩みをご相談いただけます。無料電話相談も実施しておりますので、まずはお気兼ねなくお問い合わせください。

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