交通事故 解決事例集

大阪府門真市40代男性が,異議申立により上位等級を獲得し,対応を拒否していた保険会社から示談金を獲得した事例

依頼者について
年齢
40代
性別
男性
住所
大阪府門真市
受傷部位
  • 頭・脳

  • 骨盤・股関節

傷病名
大動脈損傷,頭部外傷(急性硬膜下血腫,外傷性くも膜下出血),びまん性軸索損傷,骨盤骨折(仙骨骨折,恥骨骨折,腸骨骨折),胸部大動脈損傷,右大腿骨骨折,右足関節内顆骨折,右腓骨骨折,右足舟状骨骨折,左腓骨骨折,頭部外傷後遺症
治療期間
11ヶ月
後遺障害等級
3級3号(5級2号から異議申立)
解決方法
交渉
ご依頼から解決までの期間:
1646日
前後比較
弁護士ご相談前

後遺障害等級

等級認定前にご相談
弁護士交渉後

後遺障害等級

5級2号→3級3号
事故発生~解決まで
事故状況
本件は,深夜に赤信号で幹線道路を横断した自転車と,道路を走行していた四輪車との事故でした。
被害者様は頭部を路上に打ち付け,高次脳機能障害を併発してしまいました。
ご相談の経緯
ご兄弟の方から,「相手方保険会社より,ご本人が赤信号無視のために過失が大きく,治療費の支払もできない」と案内され,今後の治療や賠償について,どのような準備や手続を進めていけば良いか,ご相談くださいました。
弁護士の対応方針
ご本人様のおかれた状況を考えますと,当面の治療費の確保も急務でしたし,可能な限り多くの賠償金をお受取りいただくために,過失割合についても早期に準備をする必要がありました。
そのため,自賠責保険金から先行して治療費を回収することとし,その手続のなかでご本人様の過失割合が70%を超えないという認定も勝ち取れるよう,準備いたしました(自賠責保険においては,被害者様の過失が70%を超えると,保険金が減額されてしまうためです)。
具体的には,警察の捜査記録を取寄せ,加害者側が時速20kmにも及ぶ速度超過に及んでいたこと等,加害者側にも大きな落ち度があることを丁寧に指摘し,自賠責保険金全額の回収に成功しました。
また,ご本人様に高次脳機能障害が発現しており,まったくお仕事ができない状態になっていました。他方で,受傷翌月にはご自身で来所されて相談に同席され,通常の会話はできるような状態でしたので,高次脳機能障害について,実際に「まったくお仕事ができない」という評価(等級)が得られるか,微妙なラインでもありました。
そこで,ご本人様の状況について,ご兄弟の方に,日頃気付いたことについてメモを作成いただき,診察の度に主治医にお渡しして共有するようにしていただきました。
解決のポイント
回収した保険金を用いて無事に治療が継続できたものの,いざ後遺障害等級の認定手続を進めたところ,第5級という結果となりました。
 後遺障害第5級は,特に軽易な労務(たとえば,単純作業を繰り返す内職等)には就労できるとして,労働能力の喪失率も79%に留まると評される等級です。
 やはり,本件では,診察時しか様子を確認できない主治医や,書面審査により等級認定を行う自賠責保険の調査機関においては,ご本人様の高次脳機能障害の程度が分かりにくいというハードルがありました。
 そこで,①予め,ご家族の認識している状況を弁護士においても整理して,診断書類との相違点を主治医にご案内したうえ,②主治医と面談し,特に単純作業をこなす能力の有無ついて重点的にご意見を伺い,後遺障害診断書類の追記・訂正をお願いするとともに,③ご本人様やご相談者との面談を撮影して,就労に足る能力が欠如していることが分かりやすく映された部分をピックアップした資料を作成する等し,再度の等級認定(異議申立)を実施しました。
 その結果,後遺障害等級が見直され,第3級の認定を勝ち取ることができました。第3級は,特に軽易な労務であっても不可能で,労働能力も100%喪失したと評される等級です。
 また,その後の示談交渉においても,先に自賠責保険からご本人様の過失が70%を超えるものではないという認定を勝ち得ていたことや,その際に準備していた捜査記録が奏功し,相手方保険会社からも,ご本人様の過失が65%に留まるということを納得してもらえました。
 加えて,①ご本人様の収入を立証できる資料がなかったものの,毎月の出費から逆算して一定額以上の収入があったことを前提とした逸失利益を計上させるとともに,②介護費用についてもご親族面談の録画を活用して実態を共有し,平均余命までの全期間の計上に成功しました。
 最終的に,ご本人様の過失割合が60%を超えていたにもかかわらず,自賠責保険金として受け取られた2339万円のほかに,相手方保険会社から追加の賠償金として878万円(総額3217万円)の支払を受けることができたものです。

弁護士のコメント

本件のように,重篤なお怪我・後遺障害を負っているにもかかわらず,被害者様の過失が大きいケースでは,保険会社が治療費の対応をしなかったり,自賠責保険金の範囲内での対応に終始することがほとんどです。
しかし,受傷直後から丁寧に治療費を確保し,後遺障害等級認定獲得のための準備を進めていく等することで,適切な賠償金を得られることも珍しくありません。
重篤なお怪我の場合,等級認定や損害の算定で非常に専門的な知識も要求されますから,受傷早期から,医師・弁護士と密に連携していくことが重要であることを再認識した,大変印象深い案件でした。

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