交通事故 解決事例集
奈良県10代男性の、顔面の傷が後遺障害等級第12級14号に認定された事例
依頼者について
- 年齢
- 10代
- 性別
- 男性
- 住所
- 奈良県
- 受傷部位
- 傷病名
- 脳挫傷,外傷性くも膜下出血,顔面挫創,頚椎捻挫,右第5趾基節骨脱臼骨折
- 治療期間
- 13.5ヶ月
- 後遺障害等級
- 12級14号
- 解決方法
- 訴訟
ご依頼から解決までの期間:
11.2ヶ月
11.2ヶ月
前後比較
弁護士ご相談前
後遺障害等級
認定前にご依頼
弁護士交渉後
後遺障害等級
12級14号
事故発生~解決まで
- 事故状況
- 本件は,依頼者が男子高校生で,通学のため自転車走行中,信号の無い交差点に進入したところ,相手方自動車と衝突し,頭部を相手方自動車のフロントガラスに打ち付け,ガラスが破損し,その後地面に全身を叩き付けた事故でした。
その際,ガラスで顔面を複数箇所切ってしまい,多数の傷が残ってしまいました。
- ご相談の経緯
- 治療を継続したものの,顔面の傷が,線状痕として残存してしまったため,後遺障害が認められるのではないかという点が主な相談内容でした。
相手方保険会社は,依頼者の顔面の傷の長さ,位置,色素沈着の度合いから,総合判断して,人目に付かない程度の傷であって,後遺障害は認められないという見解でしたので,納得出来ず,裁判することとなりました。
- 弁護士の対応方針
- 顔面の線状痕が後遺障害(12級14号)として認定されるか否かによって,賠償額が大きく変わるため,まずは裁判所に後遺障害を認定してもらう必要がありました。
相手方が,傷の長さ,位置,色素沈着の度合いから後遺障害に該当しない(つまり,人目につかない,目立たないという主張)と主張しているため,この相手方の想定される反論を事前に潰していくことを考えました。
- 解決のポイント
- 顔面の傷について,後遺障害が認定されるための立証方法については工夫が必要です。後遺障害診断書の記載だけでは不十分で,顔全体・額や頬等の部分的な拡大写真(鮮明に撮影する必要があります),傷の写真,傷の長さを測定している場面の写真(12級14号の場合は3㎝以上の線状痕が要件となります。),傷が目立つことがわかる写真(色素沈着していることが明らかにみてとれる写真)を撮影し,証拠として提出しました。
さらに,もう一つ大きな争点として,逸失利益の問題があります。顔面の傷が残ることによって,将来,どの程度の労働能力が喪失するかといった点です。
特に依頼者は高校生で未だ就労していないため,将来への影響について仮定的な主張しか出来ません。
通学している高校から大学へどの程度進学しているか(大卒の方が逸失利益算定の基礎となる基礎収入が高い),大学を卒業した後,どのような職業に就きたいか(依頼者の陳述書で立証することとなります),そしてその職業に就いた場合,顔面の傷がどの程度労働能力に影響するか,などを出来る限り具体的に資料とともに主張する必要があります。
弁護士のコメント
相手方は,一貫して非該当の主張でしたが,立証方法を工夫することによって,裁判所においては12級14号の後遺障害が認定されました。
そして,逸失利益についても,基礎収入や労働能力喪失率,喪失期間について,相当程度,依頼者の主張を採用してもらい,当初相手方提案よりも大幅に増額された和解提案をいただき,裁判上の和解で解決しました。
外貌醜状の場合,後遺障害が認定されるための工夫が必要で,認定されたとしても,その後の逸失利益が大きな争点となります。立証する方法は様々ありますので,弁護士と協力して交渉を進めるべきと考えます。