交通事故 解決事例集
兵庫県宝塚市40代男性、物損事故の事例
依頼者について
- 年齢
- 40代
- 性別
- 男性
- 住所
- 兵庫県宝塚市
- 受傷部位
- 解決方法
- 交渉
ご依頼から解決までの期間:
350日
350日
前後比較
弁護士ご相談前
後遺障害等級
ー
弁護士交渉後
後遺障害等級
ー
事故発生~解決まで
- 事故状況
- 本件は,運送用のトラック同士の事故です。相手方のトラックがセンターラインオーバーで接触してきたため,ご相談者側のトラックは大破しました。過失は,当初より,相手方の一方的過失ということで争いがありませんでした。
- ご相談の経緯
- 当時は台風の影響で修理用の資材が不足していたり,どこの修理工場も手一杯で入庫は順番待ちの状態でした。
損傷状況も大きく,使えるトラックが減る期間が長くなることから,ご相談者は,休車損害(修理のために,事業に利用できる車両が減ることで生ずる損害)の請求を保険会社に打診しました。
これに対し,保険会社は,公認会計士に依頼し,休車損害を調査すると身構えられたため,専門家同士による協議が良いと相談された事例です。
- 弁護士の対応方針
- 休車損において考慮しなければならないのが,
①休車損害が発生せざるをえない状況であったこと
②休車損害の基準額(日額)
③休車損害の発生期間です
本件は台風の影響もあり,相当長期にわたる休車損害の発生が見込まれ,その金額も多額になることが予想されました。
そのため,受任当初より,これらの点に疑義が生じないよう,保険会社との間で,交渉よりも状況(入庫先選定の進捗,修理方法協議の進捗,会社の業務形態と会計資料には顕れにくい損害等)の共有を優先的に尽くしました。
- 解決のポイント
- 想定していた通り,休車期間も長期化し,損害額も多額になったことから,相手方にも弁護士が就任しました。
相手方からは,実際に修理に要する期間は6週間程度であり,それ以上の期間については休車損害を支払えないとの主張が展開がされましたが,実際には台風の影響で12週間程度の入庫期間があり,双方主張の隔たりは大きい状態から交渉が始まりました。
ところで,ご相談者の方では,利用できなかったものの,企業努力もあって,なんとか前年度との大差がないような事業成績が得られていました。このようなケースでは,裁判所が休車損害をストレートに認めず,自由な心証で損害額を決することができるとされています。この場合,休車期間の30~40%程度しか損害が認められないことも珍しくありません。
また,修理費用において1週間程度協議が難航していたこともあり,その期間が休車損害の算定基礎に含まれるかは,裁判所の評価も予測しづらい部分でもありました。そのため,本件は,示談交渉で折り合いをつけることが肝要な案件といえました。
当方からは,会計資料には顕出されない損害として,従業員の労働時間を増やしたことで人員が流出してしまったことや,本来得られた新規事業を獲得することもできなかったこと等を丁寧にお伝えし,最終的には9週間以上の休車損害支払っていただくことで解決をみました。
弁護士のコメント
本件はお怪我の生じていない物損事故でありながら,損害額の大きさから保険会社側の対応が鈍くなることは容易に予想できました。他方で,法的に評価し尽くしてもらえない損害も生じており,遅延損害金や弁護士費用を請求できるからといって,裁判に進むことが好ましい案件とは,必ずしも言えませんでした。
裁判・協議のいずれでの解決を狙うにしても,こういった場合には早期に状況と方針を共有し,保険会社に対して不意打ちになるような請求をしないよう心掛けるようにすることが重要です。
結局,こまめな進捗の共有と,解決への協議の機会があれば,保険会社側の動きもよく分かりますので,交渉が始まるまでに余計なトラブルも発生せず,交渉が始まってからは比較的早期に解決を見込めたと考えています(金額が大きいだけに,ご相談から1年近くはかかりましたが。)。