交通事故 解決事例集
30代男性が、国家賠償訴訟で併合第12級に認定された事例
依頼者について
- 年齢
- 30代
- 性別
- 男性
- 受傷部位
- 傷病名
- 右顔面打撲挫創,頸椎捻挫,両手打撲,頸部外傷性耳鳴, 外傷性末梢神経障害,(左)耳鳴症,頸部膨張,外傷性左顎関節症
- 治療期間
- 23.9ヶ月
- 後遺障害等級
- 併合第12級
- 解決方法
- 訴訟
ご依頼から解決までの期間:
21.0 ヶ月
21.0 ヶ月
前後比較
弁護士ご相談前
後遺障害等級
認定前にご依頼
弁護士交渉後
後遺障害等級
併合第12級
事故発生~解決まで
- 事故状況
- 本件事故の状況は,無理な進路変更を行ったバイクを避けようとしたゴミ収集車が,信号機の支柱に衝突したというものです。ゴミ収集車は横転し,キャビン部分が大破しました。
- ご相談の経緯
- ご依頼者は,ゴミ収集車に同乗されていた方です。ゴミ収集事業が公務であり,バイク側は任意保険未加入(自賠責のみ)でした。
公務災害(行政の労災)によって治療費を賄いつつ,バイク側の自賠責保険から通院慰謝料のみを回収していました。
また,治療終了後,公務災害にて,耳鳴りに対し後遺障害第12級の認定を得て,補償金の支給を受けられました。
その後,行政に対して慰謝料額を協議しようとしたところ,公務災害による補償金以上のものは支払えないと回答され,ご相談にこられました。
- 弁護士の対応方針
- 公務災害(労災保険)における後遺障害は,労働者の働く能力が失われた際に補填する機能があるため,残った症状を重視し,その症状と事故との因果関係については厳格な調査を経ずに認定されることがあります。
そういった性質もあってか,交通事故の賠償実務においては,公務災害(労災保険)において認定された等級は参考程度とされ,事故との因果関係も厳密に調査する自賠責保険での認定に基づいて賠償金を計算することが一般的です。
そのため,お任せいただいた当初は,裁判提起前に自賠責保険における認定を得ておこうと,治療関係資料を取付けました。
ところが,治療関係資料を精査してみると,耳鳴りの症状は,事故後3ヶ月程度を経てはじめて記録されており,しかも,事実と異なり,「数日前から耳鳴りがする」とのヒアリング内容が記録されていました(おそらく,医師の聞き違いだと思われましたが,そのことを立証する術がありませんでした。)。
併用されていた整骨院の記録には,事故後間もなく耳鳴りの症状を伺わせる記載があるものの,それだけでは,自賠責保険が因果関係がないものとして,形式的に後遺障害を認めない可能性が危惧されたのです。
以上の状況から,ややイレギュラーではありますが,労災保険の等級認定資料のみを以て,裁判に踏み切りました。
- 解決のポイント
- いざ裁判になると,やはり,行政とバイク運転手の双方から,耳鳴りは本件事故とは関係がないと争われました。
医療機関や整骨院の細かな記録や,事故の状況や怪我の範囲から,耳鳴りが事故によるものであることを丁寧に説明するよう尽くし,最終的には,第12級を前提とした和解解決を勝ち取ることに成功しました。
本件はそのほかにも,①シートベルト不着用によるご依頼者様の過失や,②公務であるがゆえにその後も収入の低下がなかったため,逸失利益の存否が争いになりました。
①については,シートベルトを着用していればより軽症であったことは否めず,一定の過失割合を負担せざるを得なかったものの,②については,医療記録から,耳鳴りによる不眠があり,休日には疲労困憊して一日中寝込むことがあることを主張し,67歳までの一定割合の認定を得ることに成功しました。
ご依頼者様の声
ありがとうございました。諦めなくて良かったです。裁判して本当に良かったです。スムーズに的確な判断導き、鶴山さん、ありがとうございました。
弁護士のコメント
本件は,公務災害で認定された第12級の等級を守り切りながら賠償金を確保していく必要があり,弁護士としても方針に悩んだ事案でした。
行政を相手取った国家賠償訴訟でもあり,時間は要したものの,最終的にはご依頼者様に真にご納得いただける円満解決を得られたものと自負しております。