交通事故 解決事例集
大阪府40代の男性、非該当から後遺障害10級に認定された事例
依頼者について
- 年齢
- 40代
- 性別
- 男性
- 住所
- 大阪府豊中市
- 受傷部位
- 傷病名
- 腰部打撲,頸椎捻挫,臀部打撲,右前腕打撲,右手肘打撲,擦過傷,右手関節打撲傷,右母指末節骨骨折
- 治療期間
- 256日
- 後遺障害等級
- 10級7号
- 解決方法
- 交渉
ご依頼から解決までの期間:
23.5ヶ月
23.5ヶ月
前後比較
弁護士ご相談前
後遺障害等級
認定前にご依頼
弁護士交渉後
後遺障害等級
10級7号
事故発生~解決まで
- 事故状況
- ご依頼者がバイクで走行中、交差道路の右斜め後ろから侵入してきた自動車に衝突されました。
- ご相談の経緯
- 手を頻繁に用いる自営業の方でしたが,事故初日に見落とされた親指骨折の治療費がなかなか認めてもらえず不安を感じておられました。
また,客離れを防ぐため,自営店舗は開店だけして同業者に一時的に紹介する等の案内に努めたものの,自身は怪我のために仕事ができず,収入がない,いわゆる「開店休業」の状態が継続していました。
保険会社は,調査によって店舗が開店状態であったことのみを把握し,また,確定申告資料からは赤字経営に近い状況であったことから,休業損害の発生を争う姿勢を示し,ご依頼者様との交渉のために弁護士を委任されました。
弁護士費用特約はありませんでしたが,自身も弁護士に任せて交渉すべきではないかと悩まれ,来所相談されるに至ったようです。
- 弁護士の対応方針
- 後遺障害は,当初,親指骨折の事実を認めつつも,これが「事故直後から存在していたかが医療記録から判読できず,事故と関係のある骨折であるかが判断できない。」との理由で,非該当とされました。
弊所顧問医の意見によれば,事故直後のレントゲンからは親指の撮影状況が不鮮明で,当該レントゲンからは事故直後に拇指の骨折があったことが難しいとの指摘がありました。
そのため,異議申立てにおいては,拇指の骨折が当該レントゲンからも読み取れる旨の意見のほか,医学的な見地とは別に,事故直後から拇指が骨折していたことを裏付ける資料を添付することとしました。
開店休業状態は交通事故紛争のなかでも比較的イレギュラーであり,後遺障害の等級獲得と同様,当時の状況が判読できる資料の収集に苦心しました。
- 解決のポイント
- 後遺障害については,異議申立ての結果,第10級が認定されるに至りました。
実際の認定理由は,事故直後のレントゲン上骨折が認められるとのものでしたが,この点は初回の申請時に十分に説明しておりました。
事故の1週間後に「親指が折れていることも分かったので,この部分の治療費も支払ってもらえませんか」との旨が記載された保険会社宛の手紙が見つかったこともあり,これを加害者側に返送してもらった記録とともにお送りしましたので,認定機関も「親指の骨折が事故直後に存在したかどうかわからない」という反論はできず,入念にレントゲン画像を精査していただいたのでしょう。
認定後,休業損害や逸失利益の交渉には時間を要しました。
最終的には,来店者の支払履歴が毎日記録されており,無収入期間があったことが資料からも明らかとなりましたし,確定申告に計上していた経費の一部については,その費目を詳細に説明し,稼働能力に含めて評価してもらえるに至りました。
逸失利益の範囲については,親指を多用する仕事であったことの説明を交え,複数回にわたって対案を出し合い,入念に協議を続けました。
その結果,60歳までについて裁判所基準の満額を,61歳から67歳までは,やや逓減をした基準額を支払うとの対案を引き出し,示談解決を図ることができました。
弁護士のコメント
本件は,一般的・典型的な立証資料だけでは被害者側が不利に扱われかねない状況が継続しておりました。
それでも妥当な後遺障害等級を獲得し,優良な示談対案を引き出すに至ったポイントは,ご依頼者様との間で,「何が請求のハードルになっているのか」という点を,正確に共有できたことにあると考えています。
二人三脚で少しずつ状況を改善していった事件として,印象に残っています。